私はプロのソムリエとして、常日頃若年層の酒類消費の落ち込みに対し、若いスタッフの育成が不可欠と考えてきました。そもそも飲む環境、習慣が整っていない世代に、「プロ」である彼らに、きっかけになってもらうしか有効な手立てがないと考えているからです。

気軽に、そしてしっかりと食事とワインを合わせ、学ぶ場を作ることが重要と考えてきました。しかしいろいろな制約があるのも現実。毎年セッティングに苦戦してきました。

しかし今年の若手スタッフはひと味違います。人数が多いこともあるのですが、なんと自分たちから、社外勉強会をセッティングし、そこにアドバイザーとして招かれたわけです。こんなに嬉しいことはありません。

ここにあげるワインのコメントはその時のもの。

一見身内向けの情報と思われるかもしれませんが、これからワインを学ぼうとする人、試験対策をする人、テイスティング能力を磨こうとする人は、きっと参考にされると良いと思います。

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なぜならこれらのワインはほとんど伊勢丹新宿店でお手頃に購入していただけますし、それを飲みながら今回の私のコメントと照らし合わせて頂ければ、表現の方法や他人とのズレがある程度、浮き彫りになるかと思われます。

もちろん私の書いてることが正解とは思いません。ありとあらゆる人のテイスティングコメントを参考にすることこそが必要なのです。

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仏・ラングドック:ヴァンサンブーケ
ピンクがかった淡い澄んだ赤。カシス、プラムのペースト香。

柔らかく、しっとり果実の甘み。しつこくなく、まとまりがある。タンニンは細かく、するする飲めます。

合うもの油揚げの旨煮

仏・ボルドー:シャトー プピーユ

微細に紫かかった、深みある赤。深いカシス、スパイス、ハーブ香。

滑らかで適度なコク。柔らかくしっとりとした舌触り。ひき肉のグラタン。後半酸味が落ち着く。

エルドラド ピノノワール(写真なし)

やや暗めの赤ながら透明感あり。べリーのコンポート、オレンジの砂糖漬けのような香り。

するりとして丸いベリーの味わい。甘み深く、スパイスも若干。

ローストビーフに合います。

仏・ブルゴーニュ:ジャン・ポール・マルシャン オート・コート・ド・ニュイ

エッジにピンクがかった、澄んで、かつ深みある赤。滋味淡く深みのある果実香。

スムーズで透明感があり、穏やかな酸味。タンニンは細かい、スパイスが若干。やや暖かみあり、ほっこり感

マリネしたグリーンオリーブに合います。

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ドイツ:ヴィラ・ヴォルフ シュペート・ブルグンダー

淡くオレンジがかったルビー。ベリーフローラルな香り。バラのようなフローラルなアロマやストロベリー香。

繊細でスムーズ。細やかな酸、みずみずしさ。軽快な後口。

カッテージチーズと最高の相性です。

(白に合いそうな淡い、軽い味のチーズは、このような淡いフルーティーな赤なら良く合います。)

>(ワイン会などで)編集長が推奨する、飲む順番

ヴィラ・ヴォルフ シュペート・ブルグンダー>

ジャン・ポール・マルシャン オート・コート・ド・>

エルドラド ピノノワール>

ヴァンサンブーケ>

シャトー プピーユ>

さて、環境は整いました。明日6/9は、「サケ・ワイン・コンプレックス」(用語編参照)を打ち破るための重要なサミット?兼飲み会?が開催されます。

若年層、地方における酒・ワインの消費の落ち込みにどう立ち向かうのか。とことん飲みながら話す内容を、後日こちらでもUPします。