あ:

アッサンブラージュ (仏:assembrage)
フランス語。別々の畑、または品種のワインをブレンドする作業。アッサンブラージュをすることによって、ワインに複雑味を持たせたり、バランスをとったりすることができる。主にアッサンブラージュをする産地として、フランスのボルドー地方、シャンパーニュ地方、一部アメリカ合衆国のカリフォルニア地方が挙げられる。オーストリア、ウィーンのゲミスターサツッツ(混植混醸)などとは分けて考える必要がある。
逆に品種のアッサンブラージュを大部分で行わない産地としては、フランスのブルゴーニュ地方とアルザス地方、ドイツ、ニュージーランドなどが挙げられる。

一方畑ごとのワインをアッサンブラージュするか否かは、生産者の裁量で決まる。仏、ブルゴーニュやアルザス、伊バローロ米、カリフォルニアなどでは、広域の畑でアッサンブラージュするものがベースキュヴェ(量が多く安い)、しない単一畑のものはクリュ(量が少なく高い)としてリリースされるのが一般的。

 

か:

カバークロップ(英:Cover Crop)

間作物、緩衝草と訳される。主に有機栽培(ビオ、ビオディナミ)の生産者が、生態系への配慮、ブドウのより自然な生育を目指して、垣根の畝と畝の間にあえて雑草生やしたり、残したままにしたりするもの。雑草にはブドウの害虫にとっての天敵の棲家にしたり、畑の土を踏み固められるのを根で緩和したりする働きがある。近年ではあえて、花やハーブなどを植えて、ブドウへのアロマの抽出を試みる生産者もいる(カモミール、ラベンダーなど)。

IMG_0543

 

さ:

サン(サント、サンタ 仏:Saint、西:San/Santa、伊、San/Santo/Santa)

キリスト教の聖人を意味する。聖書の先人から地名、畑名を取るケースが多いヨーロッパにおいては、そのままワイン名に“サン”がつくケースが非常に多い。畑名のロマネ・サン・ヴィヴァン。村名ののサン・ジュリアン生産者名のサン・ジュスト・ア・レンテンナーノのなど枚挙にいとまがない。

フランス語ではリュエゾンと言って、前の単語の最後と後ろの単語の最初がくっつくケースが多く、サントーバンは正しくはサン+オーバンがくっついたもの(Saint-Aubin)、サンテステフはサン+エステフ(Saint-Estephe)がくっついたものである(仏語では最後の子音は読まないケースが多い)。表記上St.と訳されることが多い。

 

 

た:

タンニン(英:Tannin)

ワインの成分の1つであり、渋みと解釈される。ぶどうの皮や種や茎から抽出され、渋みをもたらすだけでなく、ワインの骨格となり、熟成をもたらすには、無くてはならない存在である。また含有量は赤ワインに圧倒的に多いが白ワインに存在しないわけではない。なぜなら白ワインにも前述の、ぶどうの皮や種や茎の成分は入っているからである。

 

 

な:

ナンバリング(英:numbering)

一部のワイン生産者が稀少性のアピール、または商品管理のために、ラベルに数字を通算で入れるもの。その商品の生産本数が共に記載されるケースが多い。法的な規定は特になく数字が入ることによって価値があがる、というわけでもない。ナンバリングがされている商品の価格も、ピンからキリまで広いレンジにわたり、数字が入っていることが、かならずしも品質に影響しないので注意が必要である。

 

 

は:

発酵

ワインにおいてはブドウの糖を酵母が消費し、二酸化炭素とアルコールに分解すること。ブドウの糖を直接、分解された時点でそのままアルコールとなる基本的で、比較的単純な過程である。発酵は樽で行われる場合と、酸化をさけてステンレスで行われる場合がある。発酵中の温度コントロールが味わいを左右する重要なファクターとなる。

一方、日本酒においては、デンプンを糖に変える作用と、麹と酵母が複次的に働く過程が必要となるため工程も格段に複雑となる。

これに対し、近年のワイン造りで頻繁に行われているのが「マロラクティック発酵」。これはワイン中に多く、そのままでは固さ、辛さの要因になる「りんご酸」を乳酸菌により、乳酸に変え、まろやかにする手法で発酵の後に、場合によって行われる。

IMG_0422

 

 

ま:

マリアージュ (仏:mariage)

仏語で結婚を意味するが、ワインの世界においては、ワインと食事との相性がよいことをいう。本来はその組み合わせとしての黄金比( 例えばソーテルヌと青カビのチーズ等)のみを指していたが、現代においてはそれが派生し単純に食べ合わせの意で使われることも多い。一般的には食材の風味、料理のソースの色、噛み応えや硬さ、温度などに着目するとマリアージュの精度が上がる。

IMG_2207

 

ら:

ラベル(英:label)

ワインの商品看板であり、また商品管理の意味においても最重要のファクター。ヨーロッパなどワイン法で統制されている産地、商品においては、ぶどうの産地、アルコール度数、生産者名などの表記義務がある。ヴィンテージに関しては義務ではなく、一定割合以上が単一年である場合に表記が可能となる。産地によって、その産地名を表記できる基準がまちまちであり、1ヘクタール当たりの収穫量、ぶどう品種、アルコール度数、 など細かく管理規定されているケースも少なくない。日本においては、その法整備が進んでいない。

伝統的産地おいては、昔ながらの古めかしいラベルを使う方が、その起源、威厳を示すことができる。フランスボルドー地方、ブルゴーニュ地方などに多い考え方。また新興産地においては、その規制を打ち破る新しいトレンドを示すためにも、ポップなラベル、表記が単純でわかりやすいラベルが用いられることが多く、イラストもしばしば用いられる。スペインや、新世界のチリ、オーストラリア、ニュージーランドなどに多い考え方。

chardonnay

 

わ:

ワイナリー

一般的に「生産者」と考えられるが、厳密には醸造施設。同じ企業、資本で複数のワイナリーを所有することをも珍しくない。同じ産地で同じぶどう品種を用いても、ワイナリーの考え方、醸造方法によって、出来上がってくるワインの味わいは全くというほど違うことがある。

実はこのワイナリーというのは、史上この100年ほどで爆発的に増えたものである。19世紀まではワイナリーを所有できたのは一部の資産家、権力者のみであり、幾ばくかの畑を所有していた栽培農家は、自分でワインの瓶詰販売をすることができず、それをすべて大手のワイナリーに販売していた。そのため現在とは比べ物にならないぐらい、生産者の数自体は少なかった。

IMG_0361

 

さ:(おまけ、というよりコラム)

サケ・ワインパラドックス

本来日本酒とワインとは、同じ醸造酒であり、アルコール度数も数度しか変わらず、共通点が多い。

お酒が好きな人にとっては区別して飲む必要は本来ないかもしれませんが、実際のところは販売、流通業界も全くと言っていいほど交流がなく、また原料の違い、イメージの乖離などもあり、スポーツに例えると、日本では野球とサッカーほどの違いともいえ、2つには大きな壁があるように思われます。

確かにかつて10年ほど前までは、日本酒といってもアルコールの風味が強く、辛口でどっしりとして、ワインの華やかな風味とは少し違うものが多く見受けられました。

しかしその後は、日本酒業界も大吟醸ブームを経て、華やかで艶やか、密度がありフルーティーな口当たりの良いお酒を若い世代が多く造られるようになり、ワインとの差がますます近づいてきているように思われます。
ワインの世界も、これから日本地方に向けて文化として、また食卓に日常の食中酒として浸透していく必要があります。

また国産ワイン、日本酒は海外に発信をしていかなければ、市場は小さくなるばかりです。よって当winelive.netはお互いの壁を越え、読者の皆様に飲み比べをして頂く目的で生まれました。

これからもこの「パラドックス」を超えてハイブリットな関係を築いていけるように情報を発信してまいります。