先日の「ピノ・ノワール5選」で好評を頂いた、おすすめシリーズの続編。スペインの赤を3000円台までの価格でご紹介します。

「スペインワインは安くて美味い」。日本でも定着しつつある定説ですが、「テンプラニーリョ主体の重い赤」のイメージばかり浸透しているのも、悲しいかなまた事実。実際には、メンシア、ガルナチャなどの品種を使った比較的エレガントで、しなやかなワインも多く見受けられます。

また、現在のスペインは多くの個性的な醸造家が群雄割拠する「ワインメーカーの宝庫」でもあり、今回紹介する以外にもラウル・ボベ氏やペーター・シセック氏など数え切れない程の、世界に誇るスターがワイン造りに打ち込んでいます。

ここでは、スペインワインの礎を築いた往年の名門から現在注目の若手のものまで、6つを取り上げます。

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左<テルモ・ロドリゲス>エレ・セタ2013:テンプラニーリョ主体。

現代のスペインワインを象徴、代表する天才醸造家、デルモ・ロドリゲス氏による。数あるラインナップの中でも、最も手ごろなワインの1つ。赤い鮮やかなベリーの風味、そして熟して深い果実味、旨味とミネラルを調和させた、この価格にして高いレベル。穏やかさと豊かさが共存したその味わいは、その土地その土地の個性をうまくワインに反映させることが上手な彼らしいリオハ・テロワールの体現。こちらに関しては3,000円にも満たないものの、遜色ない出来。

2,160円

 

中央<コンダード・デ・アサ>クリアンサ2008:テンプラニーリョ主体。

先に申し上げるとこのヴィンテージのこのワインが、この値段で手に入ることは通常ありえません。輸入元との行き違い、商品名の確認ミスで特別に値引きをして分けていただいた商品。かつ今飲み頃のヴィンテージで、熟成したしなやかさ、果実の細やかな風味、旨味を伴った味わい、余韻の広がりなど、一本でいろんな表情を楽しめるワインです。この生産者は往年のスペインワインファンなら誰でも知っている、ティント・ペスケラを産み出した、アレハンドロ・フェルナンデス氏によるワイン。ペスケラとは別の畑でのぶどうでリリースされますが、こちらも不動の人気を得ているワインです。又とないチャンスですので、気になったら、これだけは、うちの職場でお買い求め頂くしかありません。(たまには宣伝ぽくしてみました。)

3,456円

 

右<レアル・シティオ・デ・ベントシージャ>プラドレイ・クリアンサ2009:テンプラニーリョ主体。

私が10年ほど前に訪れたことがある、広大な敷地を持つ豪華なワイナリー。ラベルに描かれている窓はワイナリー近くに実在する、王家のかつての大きな別荘地(プラド・レイの意味)の建物の一部。単一畑「ヴァルデライェグア」の葡萄を用い、樽の魔術師とも言われるワインメーカーが、スロベニアなど6種類の樽を使い分け、味わいの違いを一本にうまく融合させたワイン。芳醇で、香ばしさ、肉付きの良さ、密度があります。抜栓後の時間の変化も楽しめる、優れた出来栄え。現行ヴィンテージは2009年、これは輸入元のたっても意向で、しばらく寝かせてから出荷されるため、現地のヴィンテージより日本では落ち着いたものが楽しめます。現地で訪問時に、このワインと一緒に出された、レチャソ・アサード(乳のみ仔羊のロースト)との、相性の素晴らしさが忘れられません。(私の中では未だ生涯最高のマリアージュです。)

3,132円

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創始者の息子で現当主のフェルナンド氏来日セミナー時の写真

 

 

下写真左<プロジェクト・ソルサル>マライエート2014:ガルナチャ種。

実はこのワイン先日の記事ロゼワインの時にも出てきた生産者のもの。ロゼも当然おいしいのですが、私はこの単一畑キュヴェ(商品)の素晴らしさに強く惹かれ、この輸入元との導入を職場で決めたほど、濃密で旨みの詰まった、丸く、黒く、それでいて重くない、バランスの取れた酒質。若い状態でも、ほぼ開けたてから楽しめる稀有な赤ワイン。香ばしく凝縮した風味が続きますので、個人的には焼いてスパイシーな肉料理が食べたくなる一本です。前の記事にも書きましたが、ラベルは皆鳥で統一、柄違いです。

3,024円

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中央<ベンハメン・ロメオ>ア・ミ・マネラ2016:テンプラニーリョ主体。

実はこのワイン、昨年の秋発売の新酒、いわゆるヌーボー(西語:ビノ・ヌエヴォ)と同じ扱いであります。その時点で、常識では理解が出来ないほどに、濃密で味わい深く、しっかりと完成されております。なぜこれがぶどうの収穫から3ヶ月も経たないうちに出来上がるワインなのかと、信じがたいほどの出来です。ベンハメン・ロメオは「コンタドール」をはじめとして、リリースするワインがすべて高い評価を受け、また実際に飲まれる方の間でリピートが絶えない、現代を代表する天才醸造家です。彼の白ワインにもバランスよく素晴らしいものがありますが、赤ワインの素晴らしさを素直に楽しむには、そして新酒でありながらも一、二年の寝かせてその変化を楽しむにも、とてもオススメできる一本です。このワインも特価でお分け頂きました。

3,240円
右<ラウル・ペレス>ウルトレイア・サンジャック2012:メンシア種。

ボデガス・エステファニアで醸造責任者として、素晴らしいワインを造り続け、このビエルソという地と、メンシアという品種を世界的に知らしめた現代のスペインワイン界におけるスターの1人。品種特有の青い癖などは極力抑え、熟して華やかな、そして透明感がある中に、ピノノワールのような華やかさ、鮮やかさ、果実味を持ち合わせ、うまく散りばめた旨み、ミネラルなど、どこをとっても完成度の高いワイン。これも日本で飲んだリピートが続出している人の中では、今その実力、地位は不動の存在です。

 

3,888円

 

全て伊勢丹新宿店にて販売中(2017.03.25現在)