ロゼワインは、日本ではどうしても桜の時期の花見酒、というイメージが定着してしまっています。しかし、ワインの本場ヨーロッパ、特に地中海沿岸、南仏などでは、夏に飲む格好のワインなのです。
ロゼワインの需要も多く、街中のごく一般的なスーパーでも、ロゼワインの取り扱いは何十種にも及びます。赤白に対して全体の比率も2割3割と、日本とは比べ物にならないぐらい浸透しているのです。
夏にロゼワインを飲むということは、実は理にかなっています。当然暑い季節に赤ワインは飲みたくありませんし、フレッシュで香りの良い、キレのある白ワインが夏に向きそうですが、連日キレの良いものばかり飲んでいると、飲み疲れてしまいます。その点でロゼワインはあらゆる料理との相性もよく、中辛からやや甘口のものですと、辛いものを受け止めてくれる果実味もあったりするので、夏の食卓には欠かせないものであります。

ロゼの多彩な風味、味の違いをもっと知ってもらいたい!と企画したWinelive.net主催、第57回Vi-viワイン会「ロゼワイン特集」の内容を、手前味噌ながらご紹介します。

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<イル・コンヴェンティーノ>ロザート・デル・コンヴェンティーノ(写真左から2番目):ヴィノ・ノビレを作る生産者がサンジョベーゼで仕込むロゼワイン。色はオレンジとサーモンピンクの中間辺り。ミネラル由来の少し固い香り、白胡椒やチェリーの香りがします。味わいはドライで、塩みを感じ、引き締まり、すっきりとした味わい。甘みが出ないのでさっぱりとして、噛み応えのある鶏肉との相性、ハーブを使ったサラダとの相性も悪くありません。

上:文中にもある通り、比較的色の淡い、白に近いタイプのロゼに合う料理。
<バロラン・エ・F>マルサネ・クール・ド・ロゼ(一番左):色は白に限りなく近く、ごく明るく、濁りあり。開けたてビオワイン特有のこもった還元の香りがしますが、時間とともに落ち着いてきます。チョーク、白い花の香り。味わいは、塩、アセロラ、二十日大根など白みを強く感じる味わい。香りのこもっていたところは、味には大きな影響はなく、引き締まった旨味、奥に複雑さを持ち、サラダや鶏などとの相性が良い。またこのワインであれば、もも肉を使った焼き鳥などとも美味しくなりそうです。

 
<プロジェクト・ソルサル>ヴィニャ・ソルサル・ロザト(右から2番目):色はイチゴよりやや明るめ、赤ワイン寄り。香りはベリー、チェリーなどが感じられ、果実の甘さがしっかりと感じられる中にも、香ばしさのあるロゼワイン。たっぷりとした味わい、辛いものを受け止める大きさがあるので、この日供された激辛のチョリソをうまく中和してくれました。鴨、トマトソースパスタともまずまずの相性。
他にはマーボー豆腐、キーマカレー、アマトリチャーナなど、辛目の赤いソースの料理との相性は抜群でしょう。

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激辛チョリソ。本来ワインで合わせるのは難しいが、辛すぎないロゼなら中和。

 
<シャトー・ド・パランシエール・クレーレ>ボルドーのクレーレ(クラレット)と呼ばれる、赤ワインを少し明るくしたような、透明感があるロゼ。赤い果実を中心に深みのあるアロマ、ゆったりとした味わい。メルロ由来の丸い熟した香り、プラムなどを感じます。酸はほとんど感じず、ごく軽いタンニンがアクセントとして存在。素直な旨味が感じられ、食事との相性も広く期待できます。この日のすじ肉を使ったリゾットとの相性も良かったですし、意外なところでは和菓子にも合いました。トマトソースパスタも、グリルのチキンも合わせて楽しめました。それだけ素直な果実味があります。普段召し上がる料理ですと、サンドイッチやミートボールなどとの相性も良さそうです。

上:当日の料理では、比較的色の濃い、赤に近いロゼに合うタイプ。

ロゼワインというと、どうしても赤と白の合いの子。というイメージがあります。実は白ワインのように飲みやすく、かつそこに赤ワインの香り果実味、豊かさを兼ね備えた、白の進化版である、と言い続けています。
これからもワインの消費全体を伸ばしていく一環として、夏にロゼワインを飲む機会が増えることが望まれます。