日本にはブルゴーニュのピノ・ノワールに魅せられた人が、大変多くいらっしゃいます。かく言う私もその一人、長い間ブルゴーニュを飲んできましたのが、2009年ヴィンテージ以降の価格高騰により気軽に、そして頻繁に開けることが難しくなってきました。そうした中で雹害や天候不順による収量の減少という原因があることがわかっていても、一消費者としては、なかなかお財布に厳しいところがあります。こうしてブルゴーニュワイン離れが皮肉にも国産ワインの人気上昇の遠因にもなっていると思われます。
こうした中、この1、2年ようやく価格高騰が落ち着き、なんとか3千円台で飲める、素晴らしい生き生きとしたブルゴーニュ・ルージュをいくつか仕入れることが出来ましたので、5つほどご紹介したいと思います。

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写真、左より順に

①「アラン ユドロ ノエラ 2014」  ¥3,888

この仕事を始めた初期の頃に、最初に薄旨のピノ・ノワール代表格として気に入るきっかけとなったワイン。クラシカルでしみじみとした、他の生産者に出せそうで出せない特異なものがあります。繊細で赤い果実、鮮やかな風味が後味に残り、一度飲んだら忘れられない後口。薄さも気にならない、他にない細やかな赤果実の風味、緻密な旨みを持っています。人気老舗ドメーヌの中では価格も良心的です。
②「フレデリック マニャン 2014」     ¥3,240

畑を毎日のように見て回りネゴシアンでありながら、購入するブドウの畑を誰よりも熟知しているスペシャリスト。家から受け継いだドメーヌ「ミシェル マニャン」も運営するものの、熱心な畑巡回の結果、フランスの評価本では、「フレデリック マニャン」の評価がドメーヌより高い位です。このクラスのワインでも肉付きの良い、中身の詰まった香味、熟したピノ・ノワールの魅力を見事に体現しています。
③「ファブリス ヴィゴ 2014」       ¥3,564

この生産者ヴォーヌロマネの造り手。赤く鮮やかで、高い香りは同社上級のヴォーヌロマネだけでなく、このクラスのワインにも見て取れます。この生産者の鮮やかなアロマには、かなか勝てるものがないというぐらい鮮烈で印象的です。味わいも、もちろん引き締まったミネラル、酸、鮮やかな赤いタッチが余韻まで伸びやかに続きます。

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④「バロラン エ エフ 2014」     ¥3,996

この生産者のワインは先日の試飲会でとても気に入った銘柄。有機栽培を導入しつつも、凝縮した風味に特有のタッチ、厚みはありますがそれほど癖はありません。逆に鮮やかな風味が、ミネラルと共にまとまった旨みが印象的。かつて多くのブルゴーニュワインの名作に感じた、ピチピチとした鮮やかな赤い果実を見て取ることができる秀作であります。このワインも是非一度試して頂きたい銘柄です。

⑤「ヴァンサン ルグー 2013」     ¥3,456

元D.R.C.で醸造を担当していたルグー氏が自ら立ち上げワイン。造りはほぼD.R.C.の造りを踏襲、プチD.R.C.ともいえるワインを造り出しています。当然価格、畑が全く違うので、同じ味を求めるのは酷ですが、どこかしらにその片鱗を見ることはできます。特に味わいの中では有機栽培特有の凝縮感、内側にこもり、しっかりとしたブドウの厚みのある、黒めの果実の風味や味わいを感じることができます。

何だかんだ言っても、先日のピノ・ノワールサミットでもあったように、日本でも、もちろんカリフォルニア他有力産地が目標とするブルゴーニュのピノ・ノワール。本家が頑張ってくれないと、ワイン業界の明日は明るくなりません!

全て伊勢丹新宿店でお求め頂けます。(2017年3月16日現在)