ぐるなびは、飲食店のサイトのみでなく「35歳以下の料理コンテスト」など、食に関する活動も幅広く行っています。
その一環として、おいしいアカデミーという新規講座が開講。「世界の料理とワインコース」「日本酒コース」の各講座全6回が行われます。
5/23から始まる本編に向けて、体験会が開催され、取材で伺いました。

 


”きっかけは、ふとしたことから。飲み始め”
体験会講師は、本編でも2回講義を務める島田律子さん。年間100回に及ぶ公演、司会など日本酒業界では知らない人がいないほどの第一人者。

 

分かりやすいことで知られる講義は、この日の体験会でも参加者の皆さんを引き込んでいるようでした。
そんな島田先生自身が「日本酒に引き込まれた体験」から、講義は始まります。

 

90年代ワインブームの只中に、寿司屋で冷えたシャブリが方々で飲まれていた頃、ワインの酸と酢飯の酸が「ねちょんねちょんに」喧嘩していたが、流行に疑問を挟む人はいなかった。

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そんな折、年配の客が日本酒と寿司を合わせる姿に興味を覚えた先生は、銘柄も分からず、店のお薦めのままに飲んだ酒が「衝撃的においしくて」、以後日本酒について知識を深めることになったと打ち明けてくださいました。

 
”そして、気軽に飲んでみる。ただし比べながら”
「とにかく気軽に楽しんで欲しい」という先生は、話を続ける前に、「まずは2種類のお酒を飲んでみましょう」とタイプの全く違う日本酒を2つ飲み比べが始まりました。

 


一本目は和歌山・平和酒造の「紀土純米大吟醸」。柔らかな甘みがしっとりと、細かく広がり、雑味のないお酒です。スワリング(グラスを回す)すると杉やハーブのような香り。温度が上がることで桃のような風味もします。

 

また同じグラスを清酒グラスとワイングラス(テイスティンググラス)で飲み比べも体験。参加者から「清酒グラスの方が濃厚」という声も上がったとおり、2つには味の違いが明確に出ます。
その原因として島田先生は「清酒グラスは顎をあげず、舌が奥のほうに向かって上り坂なので、お酒が舌に広がる範囲が広く、温度も上がる。滞在時間も長いため、コク、厚みを感じます。」とイメージしやすい解説。

 
一方ワイングラスでは顎を上げて飲まなければいけないため、舌での滞在時間が短く流れるので、特に華やかな酒では爽やかさだけが残るということでした。

 

 

もう一つのお酒は、やや濃厚なタイプの岡山・丸本酒造の「ふかまり」も飲み比べます。先ほどの紀土と比べて色が濃く、ワイングラスだと米の香りの広がりを感じます。清酒グラスで飲むとまとまりとコクを感じ、米の風味が強いお酒といえます。

 
先生によると「魚、野菜はワイングラス、肉は清酒グラスというように、同じ酒でも料理によってグラスを使い分けると、一本で色んな楽しみ方が出来る。」とすぐに使える知識も織り交ぜられます。

 
”ルールは無用、ただし知っておいた方が良いことも”
そしてお酒を飲む時何よりも大事なのが、たっぷりと和らぎ水を飲むこと。味覚のリセットができ、全く水を飲まない時と比べると、データ上はお酒が1.3倍多く飲めるというデータもあるようです。(たくさん飲みましょう、というおすすめではありません。)

 
飲食店でも昔はお酒を飲んでるとき、水は頼みづらい雰囲気がありましたが、今は日本酒出すお店では進んで和らぎ水を出してくれるようになってきました。

 

 

 

また日本人は元々アルコール分解酵素が少ない、また全く働かない人がいて、日本人の40%がその働きが弱く数%は全く飲めないという人たち。これは遺伝子上で延々と続いていくので、同じ民族、国民で急に変わらないということです。

 
かつての日本人は縄文人はお酒に強かったが、農耕民族の弥生人が弱く、縄文人が日本列島の北と南に分散していったため、東北や九州の人はお酒が強いという傾向もあるようです。現在でも都道府県別のデータをとると三重が一番弱く、秋田が1番地強いという結果も出ているようです。
つまりアルコール分解できない、飲めない人にとっては酒はただの毒。

 

飲むときは自分のペースを大切に、また飲ませるのも無理強いは禁物。このような「たしなむマナー」も、愛好家を名乗る人の知識として欠かせません。

 

 

 

”四季のある国の国酒、どのように飲むか、飲まれてきたか”
体験会とはいえ、しっかりと身につく知識、その柱として、この日は四季折々に楽しまれてきた日本酒が四季の別にどう飲まれ、育まれてきたのかが紹介されました。

春は縁起担ぎ、奉納の酒の意味合いが強く、桜が散ってからの田植えがあり、豊作を願う意味合いから、桜の下での花見宴の起源になったという話。

夏は昔冷蔵室がなく、日本酒を冷やすこともが全くできなかった中、贅沢な富裕層(殿様など)は山頂から氷を取り分けてきて、人力で運ばせ、溶けて小さくなった貴重な小片で冷やしていたという、冷酒を頂く時ちょっとありがたみが湧く話も。

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そして日本酒は元来酸が少なかったが、最近は多く酸を出す酵母も使われ、爽やかに飲むことが出来るように。ただ昔ながらの夏に飲み辛い酒を飲む場合は、ライムジュースを入れたり(レモンよりオススメ)アイスの実で果実感を出すなど、島田流アレンジも披露されました。
また原酒など濃厚なものはシャーベットにして楽しむのもありだということでが、何でも冷やすと味がしぼむのでやりすぎは要注意だそうです。

 

またこれに関連して、日本酒の用語の間違いやすいものとして言われている、冷やと冷酒の解説もありました。冷やとは昔の熱燗でない酒、を指すので現在の常温15,6度、一方冷やは冷蔵庫の温度5,6度をさすことが多いです。

 

秋について。近年では10月1日は日本酒の日として酒造年度の始まりになっています。この日に一斉に飲食店で乾杯のイベントがあったり、その写真が挙げられて参加者数をカウントして発表されたりするようです。また日本酒の感じのつくり”酉”が10番目の干支であることから10月という説もあるみたいです。
また秋にはひやおろしという、夏を越して熟成されたお酒がでてくる時期としても知られています。

 

冬はお屠蘇。これはもともと風邪対策に薬酒として飲まれていたので、無病息災を願って飲まれていた習慣が正月に浸透した日本古来の伝統といえます。もちろん冬の鍋に熱燗は最高、という季節でもあります。

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“ワインと日本酒。島田先生にとって違いとは”
最後に、ワインブームのさなかに日本酒の魅力にはまった島田先生ならではの、ワインと日本酒の魅力の違いについて。
ワインはフルーツの酸や料理に対してソースの意味合いが強く、何かの全く別の味を足したり、素材の味を引き出したりするのは難しいし、マリアージュの幅も狭い。その中で日本酒は生のキャベツを食べながら飲んでも、甘みを引き出すように、シンプルな素材の味を引き出すこともできるというのが魅力だそうです。

 
これは甘さ、辛さ、苦味等の味覚の種類別のチャートが限りなく丸く、塩味だけが足りない日本酒の特徴に由来し、塩さえ足せば、ブラックコーヒーに砂糖やミルクを入れると中和されて、苦手な人が少なくなるのと同じような効果があるようです。

 

 

 

”本編の講師陣、その顔ぶれが凄い!”

5月23日からコースが始まり、レストランで食事を取りながらの講義と教室での座学半々で行われます。日本酒学講師の資格も持ちきき酒師でもある漫才師コンビのにほんしゅや、イタリアンの巨匠アクアパッツァの日高シェフのトークショーや、せんきんの臼井さんのなど、錚々たる面々が講師として役立つ知識を披露してくれます。

 
またワイン編では最前線で造り手と関わり買い付けてくる、ワインのインポーターの講師、そしてソムリエコンクールで上位になった日本屈指のソムリエ石田さんのなど業界トップの講師陣がワインの楽しみを語ります。

(ワイン編の体験会は本サイトで改めて取材します。)
詳細や申込は、おいしいアカデミー公式HPをご覧下さい。

https://oishiiacademy.com/

 

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