今までフランス編とイタリア編で大変好評を頂いた世界一簡単講座。
産地をこの上なくおおざっぱに、分かりやすく理解するシリーズの3回目はスペインです。
私が今まで他では見たことがない方法で、三分割して産地の特徴をお伝えします。
まずは軽くおさらい。フランスは図ののように東西、南で三分割、イタリアは横に北、中央、南と緯度でで三分割しました。
ではスペインについて。普通の産地地図を見ると、やはり地域が細かく分かれていて土地勘の無い人には厳しいですよね。
そこで、細かいことは置いといて、品種のくくりを中心に、以下の地図のように分けます。
<フランスから近い地域は、共通点が>
まず北東の街バルセロナの周辺地域はプリオラートやペネデスといった、主に赤ワインで知られる産地また、カヴァの主要産地として知られています。
フランスと地続きで距離も近く、影響を一番受けているということで南フランスと同じガルナチャ(=フランス名”グルナッシュ”)やカベルネ・ソーヴィニヨン(A)といったボルドーの品種が使用されます。
が、しかし、これはフランス側から見た話で、 グルナッシュはスペイン北東部が原産、つまり先輩格です。当サイトでは、フランスを先に紹介したのでフランスのブドウの様に説明しましたが、実はこれもフランスにとっては「流入品」だったわけです(C)。
もうお分かりだと思いますが、AとCという区分けはフランスの時と同様です。
同じようにスペインからフランスに出て行った品種としては、カヴァの3大品種の一つ、マカベオ(フランスではマカブー)もあります。
他にはシャルドネなどの面積もそれなりに多く、カヴァの補助品種として使われることもありますが、ざっくり南仏のガルナチャグルナッシュとボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨンが多いと覚えておくとよいでしょう。
結論①=フランスから近いカタルーニャ州などはカベルネ・ソーヴィニヨン、ガルナチャ中心。
<少し離れると、スペインの代名詞のあの品種が登場>
バルセロナの中心とした北東部から少し離れるとイタリア同様、固有品種が活躍してきます。広範囲に植えられて適用性が高いテンプラニーリョやボバル、ヴェルデホが中心となり、国際品種の割合は明らかに少なくなります。フランスにもイタリアにもない品種の区分けなので、新たに(F)とします。
ここには、70年代から80年代にかけてスペインワイン産地で最も早く注目されたリオハやリベラ・デル・ドゥエロといった産地があります。またまたブドウの病害から逃れてきたフランス人の技術によってリオハは発展したのですが、ある程度距離があるためか、その後もフランスの品種カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロが率先して栽培されなかったのは不思議とも言えます。もちろん産地との相性もありますが、これも距離のマジックなのかもしれません。
ちなみに、リオハでは伝統的にテンプラニーリョには、上記北東部で出てきたガルナチャと、マスエロという地場品種が用いられていました。今では割合がだいぶ減ってきていますが。
結論②=中央部はテンプラニーリョなどメジャー地ブドウが広範囲に
<フランスから遠く離れると、ガラパゴス的な土着品種ワールドが>
さて(F)からも離れた北西部や南東部、南部はフランスからの距離があり、土着品種の勢いが及んでこないこともあり、またワイン産地も細分化されているため土着品種の宝庫です。
近年この地域の産地品種が注目されてきています。
特にガリシア州周辺はほかのスペインの産地と違い雨が多く、緑豊かな土地のため日本人の口に合い易いワインとして受け入れられてきています。 品種はアルバリーニョ、メンシア、ゴデージョが注目されています。(G)
ヴァレンシア州では特にマイナーなマンドーという品種もあります。(G’)
南のアンダルシア地方はシェリーの産地としても知られますが、甘口に使われるペドロ・ヒメネスという品種は他で使われることも少なく、品種も製造法も独自のものという産地です。(G”)
結論②=西、南、南東は知られざる地ブドウ(アルバリーニョ、メンシア)が注目の的
もうお気づきだと思いますが、この区分けの法則どこかの国にそっくりですよね?
そう、北がヨーロッパ他国に影響を受け、南がガラパゴス化しているイタリアと一緒なのです!
ヨーロッパ本土との接し方が違うので、3つの区分けが放射線状になっているのですが、歴史的、経済的背景などは驚くほど似ています。
ということで最後に放射線状に3つに分かれている区分図。
A,Cを含む北東部がオレンジ、
Fを含む中央部が黄色
その外側が淡いピンクと分けています。
これでスペインも3つに分割することができました。
結論④=スペインの産地の特徴を見るには、まずフランスからの距離を確認すると良いでしょう!
最後までお読み頂きありがとうございました!
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