第9回雄町サミット歓評会 審査基準に関する講評。審査の過程の話を聞く機会ってなかなかありませんよね?

ここ前編では、各審査員による審査基準、出品酒全体への所見をコメントをカテゴリーごとに分析し最後にまとめ、何を「雄町らしい」として受賞酒が決まったのか分析してみます。

順不同、写真とコメントは連動しておりません。

受賞銘柄に関しては最後に記載いたします。

また、私のテイスティングコメントは後編に回します。

 

>>香りについて

「雄町らしさを引き出す、そして香りや味に反映させるのはなかなか難しい。」
「吟醸部門では香りの派手さはそれほどないが、上品で繊細な香り伝統的な明治以来の良さが出ていた。」

「香りの落ち着いたものが多かった。カプロン酸エチルの使い方が適度で、上手になってきたのではないか。一方9号系酵母の香りがでてきたので、新しい特徴かもしれない。」

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>>製造後の貯蔵、管理について
「吟醸については製造よりも貯蔵に問題があるものであるのでは?と疑問を思われるものがあった。
純米では生酒の管理の差が出ていた。生熟で蒸れた味がするものは出品するには向いていないのでだめ。」

「出荷までしっかり管理をするべき。」

 

 

>>名称・スペックについて

「山廃生原酒などスペックの名前がやたらとたくさん付いているものは厳しいものが多かった。飲み頃もバラバラのものが多かった。」

「欲しい名称が着きすぎるものはやはりよくない。」

「生原酒や、香り酵母を使ったものよりもオーソドックスな造りのほうが雄町にはよいのではと思った。」

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>>味わいについて

「アルコール12から19パーセントと幅広い中で酸と甘み、軽さを感じるものが多かった。」
「純米は米の硬さから、味が少し物足りないが、熟成させれば良くなるであろう酒が多かった。」
「独特の旨味軽くて、雄町らしくないと思うものが多かった。全国鑑評会特に現状ではそちらを気にしすぎているのではないか。」

「全体的にスレンダーで酸と甘みの膨らみ、幅が足りないのではないか。今の時代には合わせるには仕方がないのだろうか。」
「飲み易いものが多かったので飲み応えがもう少し。」

「うまみと厚みが適度。すべすべとして細やかな旨味。柔らかくて綺麗。」

「輸出の伸び、海外の食材と合わせる事の可能性を感じる、新たなニーズに対応出来るのではないか。」

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>>そもそもの審査基準

「精米歩合75から80パーセントと高いと、味が複雑で評価が難しい。純米をさらに精米歩合で部門を分けるべきではないか。」

「生酛と速醸を同じ評価をするのが難しい。」

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以上、それぞれをざっくりまとめると

「香りは良くなってきたけど、管理がなってないものもあるし、名称が長くなくてシンプルな方が良いよね。味は薄めで雄町にしては物足りないし、審査難しいから基準見直して。」

といったところでしょうか?

ところで重要なこととして、こういった「国内の」日本酒の審査は「減点法」だということです。より欠点が少ないものが勝ち残るわけです。詳しい基準を体系立てて公表はされませんでしたが。

個人的には、受賞していない酒にも、おいしいものはありましたし、それがまた雄町らしいか?といわれると、それぞれ強弱はあると感じました。その為正直違和感をおぼえました。

 

私はワインの世界の出身なので、官能評価(味の良さ評価)は加点法がしみついています。当然両者に一長一短がありますが、減点法の審査は「雄町らしさ」の前に「(かつての)日本酒らしさ」が問われているように思います。つまり「日本酒らしくて」かつ「雄町らしい」お酒でないと、受賞できない仕組みみたいです。

日本酒も飛躍的に美味しくなってきていて、味も多様化していますから、「一番おいしいと感じたもの」が素直に一番になる仕組み作りも(海外に出すなら、また新しい層にアピールするには)、同時に必要なのかな、と感じます。

ただ受賞されたお酒にケチはつけていません。正直この受賞酒の中で、たくさんは味見出来ませんでしたが(こういうところ持っていなくて選外のものばかりに興味が、、、)、受賞酒でさすがにおいしい!と思うものもいくつもありましたので、それは別の話です。

受賞された蔵の皆様、おめでとうございます。

吟醸部門・純米部門優等賞:岡山県 利守酒造株式会社 利守忠義さん (2)

以下受賞品

<吟醸酒部門(純米含む吟醸、大吟醸)>

利守酒造 赤磐雄町 生
平喜酒造 超特撰 喜平 純米大吟醸 雫
白菊酒造 大典白菊 純米大吟醸 雄町
宮下酒造 極聖 純米大吟醸 高島雄町
室町酒造 櫻室町 極 室町時代
東北銘醸 初孫 巧実 純米大吟醸酒
秀鳳酒造場 大吟醸 奥伝
出羽桜酒造 純米吟醸 雄町
後藤酒造店 辯天 純米大吟醸原酒 備前雄町
亀の井酒造 純米大吟醸 くどき上手 雄町44%
山口合名 儀兵衛雄町
玄葉本店 あぶくま 純米吟醸 雄町
高橋庄作酒造店 会津娘 純米吟醸 雄町
結城酒造店 結 純米大吟醸
青木酒造 御慶事 純米吟醸 雄町
龍神酒造 龍神雄町A Spec
松岡醸造 帝松 鳳翔
五十嵐酒造 喜八郎純米大吟醸
英君酒造 純米吟醸 橙の英君
富士錦酒造 富士錦 雄町 純米大吟醸
今西酒造 みむろ杉 ろまんシリーズ 純米吟醸 雄町
相原酒造 純米大吟醸 雨後の月
首藤酒造 寿喜心 雄町 純米吟醸
高橋商店 繁桝 雄町純米大吟醸
天山酒造 七田 純米吟醸 雄町50
松浦一酒造 純米吟醸 松浦一

 

<純米部門(純米、特別純米)>

利守酒造 赤磐雄町 特別純米
辻本店 gozenshu the silence Clean Reverb
菊池酒造 燦然 特別純米 雄町
宮下酒造 極聖 特別純米 高島雄町
川敬商店 特別純米 橘屋 雄町
杉勇蕨岡酒造場 生酛山卸 雄町 純米原酒 杉勇
秀鳳酒造場 秀鳳特別純米 無濾過 雄町
結城酒造 結 特別純米酒
虎屋本店 菊 スペシャルエディション 山廃
神沢川酒造場 正雪 特別純米雄町
磯自慢 磯自慢 雄町 特別純米
静岡平喜酒造 喜平 静岡蔵 純米酒 限定謹醸 雄町
富士錦酒造 富士錦 特別純米 雄町
東山酒造 特別純米酒 龍口水 洛伝
葛城酒造 百楽門 純米古酒 1992年度醸

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