前編に引き続いてオーストリアワイン試飲会のテイスティングコメントです。これでも絞ったほうなのですが32種類。

前編ゲミシュターサッツ編はこちら

普段はこんなに多く載せませんが、世間にまだまだオーストリアワインを紹介するメディアも少ないので、掲載しておきます。もちろんおすすめのものばかりです。
白 ロゼ デイリークラス
下記の商品名を見て頂ければ分かる通り、オーストリアワインの手ごろなものはプレナーベルトりな グリュナーヴェルトリナー かゲミシュターサッツ(前編)が圧倒的に多い。
グリュナーヴェルトリナー はハーブの風味、すっきりと透明感がありクセがなく、引き締まった辛口。もちろんその中にもグラデーションのように違いがあり、最近ではWarnungのように、自然派要素の旨みがぎゅっとある、今までとは違ったものも出てきている。
ヴェスリ、 グシュヴァイヒャー両社は私にとっても新たな発見だったし、辛く、固いオーストリアワインだと最初は抵抗を覚えそうな初心者には グシュヴァイヒャーのような緩やかさ、バランスの良いものは重宝しそうだ。

 

<フランツ> 32種類 エルフェンホーフ
口当たりから、きっちり、かっちりとして石を感じるミネラルに、辛口で余韻までが伸びる。背筋も伸びる玄人好みの骨格で美味だが、使える場面も狭い。


<グリーン ペップ> グリュナーヴェルトリナー
クリーンで比較的ニュートラル。すっきりとした味わいで、辛さ、ピリッと感が丁度良い。

 

<Ernst und Edeltraud Warnung> 以下3種
エスペア ロゼ ツヴァイゲルト
軽くこもっているか、華やかで丸さや旨味も内包する。クリーンなロゼが多い中、オーストリアでは珍しいタイプ。

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エスペア グリュナー ヴェルトリナー
柑橘ミネラルが効いていて、旨味がぐっと広がる。
骨太でやや乳酸っぽさがかすかに出る。細マッチョなグリュナーが多い中、旨みを閉じ込め、全体として説得力のある充実感をみせる数少ないワイン。

 

フェルドシュトック リースリング
柚子をはじめとした柑橘やそのビール(皮)の苦味をわずかに感じ、複雑な旨味、こもり方で、華やかなクラフトビールのような味わい。
<フレッド ロイマー>  以下2種

ブリット
すっきりとしてキレイで韓国ラムナンをはじめとした柑橘の風味が出る。

レンツ 2017
ハーブやオイルのような香り。ジューシーでじわりとした旨味。甲殻類。温度差でタッチも変わり軽くリッチな風合いも際立ってくる。

 

<ピットナウアー> ピット・ナット ロゼ(ペティヤン)2017
少し赤ワインの風合いが強い出る辛口。泡の出方も感じも穏やかで、スペイン料理や中華にも合いそう。
<グシュヴァイヒャー> 以下3種
グリュナー ヴェルトリナー ウアクリスタル
香りのハーブ感、上品さは今回でも一番。緩やかなオレンジ系のエキスからさっぱりとした後口。お手本の様な上品な味わい。

ヴァインフィアテル グルーヴィー
ややオイリーで厚みを感じるが、後味のしつこさも食中酒としてなら気にならないレベル。マッシュルームのアヒージョにあいそう。

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リースリング ウアゲシュタイン リード ライペルスベルグ
香り高くハーブやバジルミント、オレンジピールなどの複雑な香り。果実味、暖かく丸くさっぱりとした中に、旨味と滑らかさがある。

 

<ヒューゴ> グリュナー ヴェルトリナー
旨味が丁度良い。バランス、通りがよく、ミントやハーブのような凛とした引きしまった香り。辛味が少なくすっきりとしている、程良いキレ、硬さやミネラル、旨みを感じる。

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<エルフェンホーフ>  以下2種
ヴェルシュリースリング
柔らかで難くない。初心者向きさらりと消える。飲み口。

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エルフェンホーフ ゲルバームスカテラー
アロマティックで華やかで緩やか、甘くない。

 

<ヴェスリ> 以下4種 (新規輸入で発売されたばかり)
グリュナー ヴェルトリナー フェリックス 2017
このワインのみ買いブドウで仕込む。すっきり、さっぱりとした口当たりから後半に掛けて引き締まってくる心地よいミネラル。ニュートラルで気軽に飲める辛口。

グリュナー ヴェルトリナー ランゲンロイス 2017
スムーズで適度なとろみ、心地よい軽めのミネラル。辛過ぎず全体にまとまっている。品のよさも親しみやすさも両立し、価格も良心的。

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グリュナー ヴェルトリナー プールス 2015
通りの良い香り。オレンジなど果実の風味が細やかに膨らみ、エキスのタッチを感じる。味わいにも奥行きが増す。
シェンケンビセル 2015
細かくビオっぽい香りとリンゴの蜜のようなタッチ。さっぱりとしてそこに細かいミネラル、ふくらみと要素が全てきめ細やか。余韻にもミネラルが心地よく残る。

 
白 上級クラス
緻密で複雑単体で飲んでも食品用合わせることもできる優等生的な、しかし嫌味のない愛すべき白ワインが並ぶ。中でもフーバー、ニコライホーフ、クノール、ヒルツベルガーあたりは世界的に見てもこの複雑さ、緻密さでこの値段というのは破格である。
王道の和食からおうちごはんに広く合うので、是非合わせてみてもらいたい。

<フーバー> 以下2種
オベーレ シュタイゲン 2016
日本酒の純米大吟醸のようなピュアでクリアな香り。オイル、オレガノなどしっとりとしたアタックで、温かみのある硬さ。

 

ベルグ 2016
ミネラルグッと上がる。力強い旨味と迫力、集中力がある。舌触りの丸みと共に旨みが広がり、表情豊か。倍の値段の世界屈指の白ワインを向こうに回して負けない構成力がある。
<ニコライホーフ>
イム ヴァインゲビルゲ グリューナー フェルトリーナー フェーダシュピール
暖かみ固さ、えみひより砂っぽいような細かな骨格。沁みる細かめの旨み。

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シュタイナー フント リースリング レゼルヴ
ドイツの名醸の辛口のようなアロマに似ている。オイルやな金柑の砂糖がけなど。軽いとろみ10から15年持ちそう。飲み方考えるべき。

ヒルツベルガー
華やかさと果実由来のクリーミーでまろやかな香味の中に落ち着いた染み入るような旨味。透明感も伴い、細やかで惹きつける魅力がある。

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クノール
オレンジオイルや細かい酸や旨み。落ち着き派手さはないがゴージャス、ふくらみがあってはかない。あらゆるものを内包し、一度の飲むと深みにはまってしまうワイン。飲まず嫌いやオーストリアワインを否定する人はまずクノールを飲んでから。

 


どうしても白ワインのイメージが強いオーストリアワインだが、赤も秀逸なものが見受けられる。品種としてはザンクトラウレント、ピノノワールなどもあるが、プラウフレンキッシュはオススメ。

カベルネ・ソーヴィニヨン、フランのような青さはなく、シラーやグルナッシュのような甘さ、アルコール感もなく、ピノノワールのように薄くなく酸も少ない。世界的に秀逸なメルロ、プティヴェルドなどが体現できる様に、バランスの中に滑らかさと旨味、充実感があるのだ。

 

<エルフェンホーフ>アーベントロート シュペトレーゼ ブラウフレンキッシュ
フルーツのコンポートのような風味さっぱりとして心地よい甘さ。上品でスイーツにきっちりマリアージュとして合わせることができそう。
<ネッツル>クルヌントゥム キュヴェ
さっぱり飲みすく緻密な酸に旨みがからむ。ベリーの風味が顕著だが甘みが出すぎない。飲みやすく好感が持てる。

 

<フリッツ サルモン> ブラウアー ブルグンダー
軽やかなベリーの香りがさらりと流れる赤ワイン。しっとりとして、かつ実の詰まった味わいを堪能できる。とろみのあるワインを探すならこれがおすすめ。
<ヒードラー> ドス ツヴァイゲルト ザンクトラウレント
樽香も心地よく、穏やかなフレーバー硬くないので、逆に樽感は少しあるが、初心者向きかもしれない。
<クラッツラー> ブラウフレンキッシュ
ビビットな酸、クリーンでさっぱりとして、山葡萄とかじったようなフレッシュな感触がある。
一部のブルゴーニュピノや日本ワインでしか味わえない、清清しい軽快さがある。


<ヴァインホフ イラ&オスカー ゼメッシュ> ブラウフレンキッシュ トラディツィオン
華やかでボルドー的で青めのベリーが広がる。滑らかでオーストリアワインだと気づきにくい、凝縮した風合い。後口の酸、旨みがしっかりとしている。

 

<ハインリヒ> ピノノワール
華やかで落ち着きがあり、少しさっぱりとした香りが優等生的で、舌先でなく舌の奥でじわっと感じるタイプ。

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<モリッツ> ブラフレンキッシュ
ややジャミーなアタック、余韻にかけてほっこりとして適度な酸がある。タンニンは上品で、やや華やかさがあり、暖かみもじわりと広がる。

 
そして、オーストリアワインの奥深さ、食との相性が詰まった名著が発売になりました。
銀座壮石という江戸前鮓にいらっしゃるオーストリアワイン大使、岡田さんの情熱とエッセンスが詰まっています。
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