このサイトでも再三にわたり、酒の魅力を伝えてきました愛媛の酒。また香川の川鶴、高知の文佳人など個人的にも好きな銘柄が多いことから、「四国のお酒はすごい」と思っています。しかし、残念ながら世間一般にはまだまだ浸透していないようです。

そんな四国の酒と食文化を丸ごと楽しめる、今年で3回目のイベント「ShikokuSakeTrip」去年は所用で涙を飲んで不参加でしたが、今年は半年前から予定を空けておき、参加してきました。

四国の24蔵が参加し、三部制で、二部と三部は蔵元とゆったり話ができたり、四国の郷土料理を楽しむこともできます。一部に参加したのですが90分ではとても全蔵の魅力を伝えられそうになく、愛媛と高知のそれぞれ3蔵いを中心に、違いをクローズアップするとともに、四国の酒がどれだけ同じ県でも個性がはっきり出ているかをお伝えししようと思います。

 

<<愛媛の3蔵の特徴>>

 

山丹正宗:最初に理念四国の酒はすごいと思うに至った銘柄。後味のボディーのしなやかさと、スパッとした切れとは対極の、繊細な余韻の引き方最大の特徴に思われます。

今回は出品がありませんでしたが、(本当は教えたくないのですが)ここのシルバーレーベルシリーズは本当においしいです。

過去の山丹正宗レポート「74回日本酒文化を楽しむ会」

伊予賀儀屋:イベント常連参加の方には御馴染みイケメンの首藤英友さん達が少人数で仕込む。弟敏孝さんの仕込んだ酒も出品。旨みののり、口当たりの良さとジューシーで華やかさ、そこに旨みがバランスよくのるのが特徴といえます。

過去の伊予賀儀屋レポート「ナイトフィーバー伊予賀儀屋編」

弟敏孝さん登場「しんゆり日本酒の会」

媛一会:1週間前に蔵元杜氏の武田さんを囲む会に参加させていただき、6種類を飲み比べましたが、味のバラエティーの豊かさに、この蔵のファンにもなりました。武田さんはシャイな方ですが、「基本に忠実な酒造り」を標榜し、酵母、酒米などスペックごとの造り分けが上手ながら、どこかに共通した滋味深い旨みが見え隠れします。

八木酒造部<山丹正宗>

純米 松山三井

バナナのフレーヴァーから軽い切れと共にかすかなコクを感じる。穏やかで綺麗、フルーティーな酸が特徴。すっと引くしつこさの残らない後口は、山丹らしい。

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フクヒカリ

とろみと、風味に少し黒糖のような深み、濃密なタッチが残る。が、あくまで酒質はのびやかで、くどさ、重さはない。甘みを中心に、ふっくらとした口当たりに軽い酸がアクセントになり、とっつきやすい。蔵として「ぬる燗がおすすめ」というのも頷ける。

 

特別純米 短稈渡舟

協会9号酵母を使用。軽い苦味、キレがある。後口に僅かな酸がしめ、軽やかな口当たりの中にも変化が感じられる。山丹正宗の中で複雑さを求めるならコレがお奨め。

 

 

成龍酒造<伊予賀儀屋> 

9 Dry Taste 辛口純米

みずみずしさを伴うフルーティーな風味。ドライでいてメロンや梨の風味も出る。

パリッとした飲み口で、食中酒として守備範囲の広い。例えば洋食のシーザーサラダなどにも合わせられそう。

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月見純米

しずく姫を使った酒。弟さんが醸す。ややフルーティーさらりと消える変化が心地よい。

甘さ、くどさが残らず飲み飽きない。熟れた酒質に、親しみと優しさを感じる。

 

純米原酒 秋の夕暮れ

松山三井を用いたもの。ハーヴ系のすっきりとして細かい味わい。口当たりやや辛口な中に、かすかにフルーティーさが顔を覗かせ、細かいところまで緻密によくできたお酒。

 

 

武田酒造<媛一会>

山廃無濾過 生 純米吟醸 生原酒
細かい味で、膨らみと甘みが後口にかけて出る。キャラメル、ナッツ感などが軽く出て、香ばしさが溢れる。飲み易そうにみえて、実は奥深い、細かな旨みがクセになる。

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純米吟醸 火入れ 夏越酒

小気味よい熟度、旨みがハラハラとほどける様に現れる。生原酒と比較する穏やかだが、あっさりした野菜や白身肉の焼き物には最高の相性。

 

小槽搾り 純米吟醸 松山三井
上品でさらりとした口当たり。甘さが細やかで、後口にかけて華やか。緻密で舌の肥えた飲み手にうけるはず。ポン酢に合いそうなので、鍋には極上のチョイス。

 

 

<<高知の3蔵の特徴>>

愛媛と比べて、高知の酒は、酔鯨、桂月、文佳人以外どれもゆっくり飲み比べをするのは初めてでした。

会場にいらした、こちらもイベントの常連よいどれんぬ様にアドバイスを頂いたのを参考にし、この3つの蔵の比較としました。

 

<南>の飲み口のふくよかさの中にしっかりと旨みを散りばめるスタイル、

<豊能梅>のモダンでジューシーな中にきめ細かい味がバランスよく感じられるタイプ、また

<日乃出桃太郎> の鮮烈なまでにかっちりとしたミネラル、酸が感じられ、熟成がききそうな、やや玄人好みなスタイルと三者三様です。

 

南酒造場<南>

中取り 純米

口当たりは華やかながら、こなれた旨み、滋味深さが穏やかに広がる。とっつきやすいのに、充実感を感じる。古すぎず、新し過ぎず、独自の魅力を持ったスタイル。

 

特別純米 冷卸 出羽燦々

コメが足りず、お父さんの縁故で仕入れた出羽燦々なので、今回限りのスポット商品。さらりとしたコメの特徴は残りつつ、落ち着いたジワリとした上手さが印象的。

純米吟醸 しずく媛

3つの中では一番モダンで、開いたジューシーさがある。ただ甘みや重みに頼らず、全体のまとまりが良いので飲み飽きない。

 

 

高木酒造<豊能梅>

純米吟醸 ひやおろし

最近飲んだひやおろし、秋あがりの中ではダントツの好み。ひやおろしでピントがボケたもったりしたもの、逆にすっきりし過ぎて、熟度が伝わらないものも散見される中、このひやおろしは味わいが細やかで、緻密な旨みがある。ちゃんと秋に「上がった」お酒。松山三井でこの味が出せるところも驚き。

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純米吟醸 吟の夢仕込

フルーティーで開いた、親しみやすい酒質でどちらかと言えばモダン。飲み口良く、クドい甘さは無いので多くの人に奨められる。

 

土佐金蔵 特別純米

前の2種と比べて、僅かにクラシカルで落ち着きがある。かといって古臭さや、高知酒の昔ながらの「辛さ一本」というイメージも皆無。派手さはないが、冷でも燗でもいける汎用性の高い食中酒。

 

文本酒造<日乃出桃太郎> 

純米吟醸 秋上がり 原酒

酸がきっちり、かっちりとして伸びがある。ワインのミネラルの様な硬質な酒質で細めながら骨格をダイレクトにを感じる。熟成の効きそうなお酒。

特別純米 秋上がり 原酒

ひやの良さ、きっちり感がある。逆にコクはあまり感じないが、温度を上げたり、時間を置くと出てくると考えられる。

 

純米大吟醸
繊細で瑞々しい果実の香りと、細やかできれい、さっぱりとした味わい。透明感があり、どこまでも清廉として伸びやか。

 

 

その他

綾菊酒造(香川) <国重>

東京方面のイベント参加自体が初。県産米オオセトを用いて長年造り、山田錦に混じってオオセトで鑑評会の金賞も受賞している蔵。そして杜氏の名前を銘柄名にした先駆けだそうです。

特別純米

名前通り少し重い、溶けた印象。燗にして飲みたい酒。

 

ひやおろし

滑らかで幅があり、後口の抜けがよく、旨味が強め。エイヒレや干物などに合わせられそうな風味。濃醇系ひやおろしの、奥行き、複雑さが出て好印象。

 

純米吟醸

甘みと旨味が出る。クラシカルでじわじわした、昔ながらの、コメの旨みがふわりと出る。ボディに酸ととキレが程よくあり、引き締まった旨味、深みがある。

 

 

梅錦山川(愛媛) <梅錦>

純米吟醸 原酒 山田錦

深く濃く、コクがある。クラシカルで肉付きの良い酒。ややコメの旨み、溶けた感じがやや出るので、個人的には燗向きに思われる。

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来年のこのイベントには、当方はさらに積極的に関わっていきますので、お楽しみに。

〆の集合写真。皆さん仲が良いのが伝わってきます。申し遅れましたが、司会はおなじみ島田律子さんでした。

 

四国最高!まずは愛媛に早く行きたい!!

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