皆さん、日本酒の香り、味には酵母が重要なカギを握るのはご存知だと思います。がどんな酵母がどのような役割を果たしているか、説明できるでしょうか。

YATA新宿店さんで定期的に行われている、「日本酒タテ飲みヨコ呑み“基本の酵母編”」では、多くの試飲サンプルを含めながら、主に香りの比較が出来、なぜこのお酒にこの酵母が使われているかなど、造り手の意図を知る手がかりにもなるとても為になるものです。
念願かなって参加できたので、その様子を少しだけお伝えしましょう。

 

(この記事は、以下の項目別にお読みいただけます。)
日本酒の香りを司る「2大勢力」
2タイプの香りの由来は全く別物
酵母は酒造の適地まで変えてしまう!
酵母に流行があるって本当?
「6号酵母」は一種類じゃなかった
テイスティング14種類のうち2種のみコメント

 

日本酒の香りを司る「2大勢力」
酵母の種類によってあらゆる香りを出しますが、その成分は「酢酸イソアミル」と「カプロン酸エチル」の2つに大分することができます。
「酢酸イソアミル」はバナナや洋梨のような、爽やかで青みを伴う香り、「カプロン酸エチル」はリンゴやメロンのような甘い香りが特徴です。
そしてどちらの成分が多いかによって、日本酒の香り、味わいの方向性が決まるのです。しかし、これも1つの酒にどちらかしか入っていないわけではありません。バランスよく両方を感じられるものもあれば、どちらかが強くて、片方がマスキングされているということもあります。
どちらも感じられる場合は一般的にカプロン酸エチルの香りが最初にきて、その後徐々に酢酸イソアミルを感じるのが一般的です。

IMG_5015

 

2タイプの香りの由来は全く別物
この2つ、同じ吟醸香として扱われますが、そもそも由来する成分が違います。カプロン酸エチルはブドウ糖が発酵して、アルコールになる際に生成されるものですが、酢酸イソアミルは蛋白質由来のアミノ酸がから生み出されるもので、出処からして相容れないものです。また2つ成分は比重が違うこともあり、温度によって揮発してしまい現れ方が違います。

より比重が軽いカプロン酸エチルは温度が上がると感じにくくなる一方、逆に高い温度帯で酢酸イソアミルは感じやすくなります。

この為、酒蔵が酒を出荷する際にカプロン酸エチルが豊富で香り高い酒は、火入れをすると、その香り成分が揮発で逃げてしまうので、生酒として火入れなしで出荷、または瓶燗火入れで逃げる量を抑えるといった処理を用いたりします。
この日の試飲でも、カプロン酸エチルを強かったお酒が、温度とともに酢酸イソアミルが徐々に強くなってくる、といったことも感じられました。

 

酵母は酒造の適地まで変えてしまう!
さて二つ香り成分の他にも、アルコールや酸味など生成する酵母ですが、各蔵自前の「蔵付き酵母」の他に、優良なものが選抜され、配布・販売されている「協会酵母」というものがあります。「六号酵母」、「九号酵母」など耳にされた方も多いでしょう。

酵母それぞれに得意な発酵の温度帯があり、なんとそれにより、酒を醸造する地方地域の地図すら塗り換えてしまうこともあるのです。

例えば秋田県の超人気銘柄「新政」から生まれた「六号酵母」。戦時中の一時期は協会酵母のほとんどはこの「六号」でした。そして寒さに強いこの酵母は、西日本中心だった酒造りを寒冷地の東北でも可能にすることになり、その後東北の蔵が一気に増える、影の立役者にもなったのです。
全く逆のことが、南の熊本で「九号酵母」によってもたらされました。
かつて気温が高いことから、江戸時代に幕府から禁酒令も出されるほど酒造りに不向きだった土地が、高温でも力を発揮するこの酵母によって、酒どころになっただけではなく、この「九号」の良さに注目が集まり、逆に全国に広まっていったほどです。

IMG_5018

 

酵母に流行があるって本当?
また酵母は時代によってはやり廃りがあります。協会一号から五号酵母は現在ではほとんど使われていない上、前述のとおり、全国に広まりほぼ一択だった時代もある六号は、使う蔵が減り、現在では少数派になっています。
一方「真澄」由来の「七号酵母」は、香りは穏やかな分使い勝手も良く、普通酒など、定番品、流通品を中心に多く用いられています。
また「九号酵母」はカプロン酸エチルの強さから、華やかな香りを出す為、鑑評会で賞をとるなら必ずと言っていいほど使われていた時代もありましたが、現在ではその主力は十八号系統の「1801酵母」に移っているようです。

ちなみにこの1801酵母は、カプロン酸エチルを生み出す力が 九号酵母の倍ほどになり、香りの高い大吟醸酒にはうってつけの酵母といえます。

そして、この酵母の数字は、もちろん発見、登録された順についていくのですが、カプロン酸エチルを九号酵母の倍生み出すのが、十八号というのも、偶然にしては良く出来ていますね。

 

「六号酵母」は一種類じゃなかった
さてこの協会酵母は蔵付き酵母だったものが、それを元に選抜、交雑されたものですが、実は「六号酵母」というものが、ひとつしか存在しないわけではないのです!
もちろん、新政から発見、採取されたものは元々「一種類」ですが、そこから日本醸造協会が管理管轄すると、発展改良していきます。
現状協会では数十種類の「六号」があり、それを毎年酒蔵からのフィードバックを元に再選抜。優勢なものを残していくという、取捨選択が未だに行われて進化しているのです。
また1401、1901など発酵の際の泡が出ないという、突然変異から生まれた、最後に01が付く酵母は、使い勝手の良さ、タンクの容量を多く使える生産性の良さ、酵母があふれず、もろみにとどまるなど、その利点から現在は多く用いられています。
また県単位ので酵母が開発され、地域性や気候にあったものも作られるなど、酒造りの進化と酵母の改良は切っても切れない関係にあることは分かって頂けるかと思います。

IMG_5014

 

テイスティング14種類のうち2種のみコメント
さてこの日は14種類のテイスティング、7種類の酵母をそれぞれ2種類ずつ試飲させていただいたのですが、この違いが非常に面白いので「九号酵母」の一組み 2種類だけ、どのようなものだったかお伝えします。

篠峯 純米吟醸 無濾過生原酒
「九号酵母」が元来カプロン酸エチルが多いのですが、このお酒は酢酸イソアミルも比較的感じられ若干ドライに仕上がっています。磯っぽさ、魚卵のような香りからバナナのフレーバー由来なのか、カステラのような香りもしました。

みむろすぎ 純米吟醸 無濾過生原酒
こちらはセオリー通りカプロン酸エチルが感じるタイプでリンゴに加えてみずみずしいマスカットのような香りをわずかにありました。綿菓子のような柔らかく甘い香り、酸も適度にあり、口当たりがフラットでクセが少ないです。温度が上がると酢酸イソアミルも少し感じられます。
このように九号酵母を用いたからといって、必ずしもカプロン酸エチルばかり感じるわけでもなく、蔵の造り、狙いと酵母の掛け合わせで、酒の味わいが決まることがよくわかります。

造りの仕組みを知ると日本酒に対する、興味、造詣が深まるので良いのですが、日本の方はスペック分析が行き過ぎる傾向がありますので、あくまでほどほどに楽しみましょう。
そして、そんなマニアックな知識も含め、日本酒の知識の腕試しをしたい方にうってつけなのが、

YATA新宿店さんで行われている「日本酒センター試験」です。
2回目の今年は「初級編」と「中上級編」の2つに分かれているそうです。

IMG_5019
詳しくはこちらまで。
https://www.facebook.com/events/217692038796019/

 

 

最後までお読み頂きありがとうございました!

最新情報のお知らせは下記ページでいいね!をお願いいたします。
WineLive.net FaceBookページ
https://www.facebook.com/winelive.net/

WineLive.net Instagramページ
https://www.instagram.com/winelivenet/

———————–
ポータルサイト
www.winelive.net

広告