一昨年まで三年続けて行われていた山形のワイナリーが集結するイベント、「山形ヴァンダジェ」。
一年のブランクを経て、今年さらに規模を拡大して戻ってきました。
東京に東北地方のワイナリー29社のワインが集結。しかも距離をものともせず、各社ワイナリーの担当者が誰かしら参加、ブースの奥でワインを注ぐだけではなく、ブースの手前まで来て参加者と触れ合うことを目的としています。
東北のワイナリー。こういったイベントの常連である老舗から、設立して1 、2年のデビューしたての生産者まで東北のワイナリーほぼ全てが参加している計算です、東京でも見かけない、買えないものも数多くあります。
そしてこのイベントのもう一つの特徴はなんといっても一緒に豪華な食事が5種類頂ける事。山形の蕎麦や笹かまぼこ、ホタテなどご存知の食材から、地元産のモッツァレラを使ったメニューなど、、東北のお店プロデュースの東北の食材を使った料理で充分お腹も満たされます。チケットはそれなりに値がはりますが、その元は取れるほどしっかりの内容です。
では当方で取材したこともある、よく知るワイナリーからご紹介。
若手阿部さんの<月山ワイン 山ぶどう研究所>。
隣はアシスタントの兵頭さん。私が勝手に思う、派手じゃないけどピュアで明るい山形美人を画に描いたような人。将来どんなワインを造られるのか楽しみです。
この日はロゼのフルッツァンテを。夏向きのすっきりとして、適度なフルーティーさ、それでいて甘みに走らず、中心のぶれないかっちりとした味わいです。
ベテラン近衛さん率いる<朝日町ワイン>は赤のスパークリング。バルサミコなどの風味がしっかりとして、酸味と軽やかなタンニンが広がる。舌の肥えた本格派の愛好家も納得の味わいでしょう。近衛さんの味のまとめ方はいつもながら流石です。
唯一無二の存在、究極の自然派とも言える<酒井ワイナリー>は鳥上坂名子山。酒井さんは独特の哲学を持った天才タイプ。
とろみのあるまったりとした味わいは、いつも通り。16年と若いヴィンテージながら、すでに落ち着きがあり、しっとりと上質な酒質。好き嫌いが出やすい代わりに、私のようにはまる人も多いワインです。
こちらも一応「新しいワイナリー」ですが、すでに中身、世評ともに日本ワインファンに認められる存在となった<蔵王ウッディファーム&ワイナリー>ソーヴィニヨンブラン2017。
17年は天候の影響もありトロピカルなウッディらしさは影をひそめその分ソーヴィニヨンブランの品種特性の青さ、フレッシュ感が前面に出たタイプです。
辛口でキレがあり温度をやや下げてて飲んだほうが良いそうです。
金原さん、うまく言えないですが、真っ直ぐで不思議な面白さが滲み出ている方。もちろん浅いキャリアに関わらず、すでに醸造家としての腕は凄い人です。
ここからは今まであまりご縁のなかったファイナリー。
青森の<Wanoワイナリー>県内で栽培比率が多いスチューベンを使ったワイン。醸し期間3日のものと7日ののものが造り分けで飲み比べ出来ましたが、個人的には酸味が落ち着いて果実味がストレートに出ている”7days”(七日醸し)の方が好みでした。
3日醸しの方は酸もある分、1年後に飲んでみるのも面白いかもしれません。
青森県となりのブース<澤内醸造>は”Wa八戸”というシードルのシリーズ。今まで飲んだ、べたっと林檎感、甘さが前面にぷんぷんするシードルとは一線を画する、シャープで冷やして美味しい白ワインの様な感がじが出ています。こういう切り口のシードルは面白いので 、今後増えるかもしれません。
ここからは注目の新しいワイナリーを二軒。
山形・ウッディと同じ上山市の<ベルウットヴィンヤード>。去年までクラウドファンディング行っていたような出来立てのワイナリーです。
デラウェアのスパークリング。デラウェアだけのものとデラ・ナイアガラブレンドのものを飲み比べることが出来ました。
にごったタイプですがクセは強くなく、デラウェアの肉付き旨味を存分に味わうことができます。「これはそばに合わせてみてください。」というアドバイス。確かに軽い苦味華やかさに共通した部分があり思った以上に合います。
<Grape republic(グレープリパブリック)>
こちらは赤湯で知られる南陽市(酒井ワイナリーと同じ)に新しくできた生産者。こちらもデラウェアのを中心にロゼ白を造ります。畑は山間の斜面がちの場所。
この日はかなり濁りのある微発砲ワイン二種。印象的な鶴のラベルが目を引きます。
適度な厚みと果実味があります。
料理うまみと充実感を感じられるタイプですが重みはそれほどありません。
ジューシーですが華やかというよりは集中力のあるタイプです。
今回初対面のワインで私が一番印象に残ったのは岩手の<高橋ぶどう園>のミューラートゥルガウ。ここのリースリングリオンもすっきり、きりっとしておいしいのですが、ミューラートゥルガウは適度なミネラル酸味に、果実の風味が軽やかにあり、よりメリハリがありながら飲みやすく、バランスがとれています。
仕事柄今までかなりの数のドイツワインのミューラートゥルガウを飲んできましたが、平均的な本場ドイツのものよりも美味しいとさえ思いました。ただ味に集中して写真を忘れました、、、、。
このイベント、生産者を「主役」にする為、ワインを注ぐサポート役をはじめ、本当に多くのスタッフで運営されていました。来年開催、といっても大変な要素は多いでしょう。
でもこういう質の高い日本ワインのイベントは本当に少ないので、是非続けていただきたいし、是非多くの方に参加して体感頂きたいですね。
ということで、期待もこめて主催者の菅沼さんのお姿で締めます。
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