隔月で行われている飲みながらワインの知識も身に付く会「ワインの遊び場withソムリエ」。今回は夏のため酒の先取りとしてロゼワインをご紹介しました。(4月開催だからというわけではなく。)

 
そもそも日本ではまだまだ普及していないロゼワインですが、本場南フランスでは、ショップに大量のロゼワインが並び、いかに売れているか、飲まれているかを知ることができます。そもそもロゼワインがなぜ夏酒なのか、整理して見ていきましょう。

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<ワインと日本酒の四季>
比較対象として、日本酒から。
日本酒の世界では「秋上がり」、「冷やおろし」、酒造りが始まる11月頃からの「新酒」というものを季節商品として販売することが、かなり前から行われてきました。

 
それに加えて最近では、スッキリ端麗な飲みやすい酒で、涼やかなラベルの「夏酒」。(そもそも日本酒は夏にほとんどというれないジレンマがありました。)そして残った春は花見酒という体で、ピンク色のラベルの春酒を売る様にになり、もともと季節商品の意味合いが違い日本酒が四季において、いかに商品を振り分けているかということが分かります。

 

一方日本ワインでは、1つの商品を通年かけて売るのが主流。ぶどうを収穫順に1年分全て仕込むそのため、発売のタイミングで季節性はほとんどありません。しかしながら、消費者が飲みたいタイプのお酒というのは四季に応じてあるものです。例えば濃厚な赤ワインや樽の利いた白ワイン、重いシャンパーニュには夏に飲みたくありませんよね。

 
逆に冬場の寒い時期に、あまりサッパリ、キリッとした冷えた白ワインもどうでしょうか?そう考えていただければ、自ずと季節にあった飲み方、区分けができると思います。

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では具体的に見ていくと、暑さが和らいできた秋以降はやはり赤ワインが少し恋しくなってきます。
かといって、まだ重過ぎるものは敬遠されるので、やや淡いものが欲しくなります。
従ってピノノワールや濃醇なシャルドネが秋に飲みたいワインといえます。
これは理に叶っていて、秋の食材はキノコ類や木の実、栗、根菜など味付けは濃くなく素材の味を生かしたものが多いので、やはり濃厚すぎるワインは秋の食卓には合わせ辛いです。
一方冬はやはり肉煮込みや比較的脂っこいものが食べたくなる時期。重たい赤や熟成したワインとの相性が良くなります。

 
一方春はドイツでシパーゲルワイン(アスパラ用のワイン)などがあり、日本でも、タケノコ、菜の花などの春野菜はフレッシュさや青さ、苦味がキーワードとなります。
ですので透明感がありキレや鮮やかさがある白ワイン、品種でいうとリースリング、グレナベルトリーナー、アルバリーニョ、ヴェルメンティーノ、デルベッキオなど青みが強い物が中心です。
もうお分かりだと思いますが、この流れだと夏は薄すぎる白だけでも物足りませんし、重いものは飲みたくありません。

 
夏に食べる食材を思い出してみてください。さっぱりした冷奴、すごくさっぱりしたものか、焼きそば、カレーなど逆にこってりしたものが食されます。これに一本で通して合わせることができるのは、よく冷えたロゼワインだったりするのです。

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<ロゼワインのしくみ、造り方>
続いてロゼワインとは何か?造り方、仕組みを見ていきましょう。白ぶどうを絞って主に果汁だけを使うのが白ワイン。
黒葡萄の周りの皮、種、茎なども加えて果汁とともに発酵するのが赤ワイン。昨今流行りのオレンジワインは製法こそいろいろありますが、基本的に白葡萄を赤ワイン大容量、つまり皮などと長時間ぶれさせて深み、厚みを出したものです。

 
一方ロゼワインは、黒ブドウの果汁だけを使ったもっで、絞るときに果皮の赤い色素がどうしても出てくるので、このように色づきが出ます。
(一部果皮などを漬け込んでいるものもあります。)ここでよく誤解されていることですが、ロゼワインは1部の産地を除いて赤ワインと白ワインをブレンドして造ることはありません!なぜなら本来は余り物で造られていたロゼワイン、赤白のブレンドですとどうしても「適当に作った余りもの」感が出てくるので、それを避けるためです。

 
確かにかつてはロゼワインに用いる葡萄はそれほど良いものでなく、味をごまかすために甘みがつけられていた経緯があります。そのためロゼは甘いと思い込んでいる人が大半なのも事実です。
しかし今はロゼワイン用のブドウをわざわざ育てている生産者がいるほど。「ロゼなんか」と言って飲んでいない人ほど近年のロゼワインを飲むと驚かれることが多いのはこのためです。

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<ロゼワインの色合いと選び方について>

色合いにかなり違いがあり、赤ワイン近いものから白ワイン近いものまで様々です。お店でロゼワインを選ぶときは、この色合いがヒントになります。色が濃ければ赤ワインの要素が、逆に白っぽい色なら白ワインに近い味わいになります。一本だけだと、そのボトルがどれぐらい色が濃いのか分かり難いと思いますので、複数種類があるお店で他のものと比べながら選ぶと良いでしょう。

 

 

<ロゼワインとマリアージュ>
ロゼワインはマリアージュ(食事との相性)に関しては、はっきり言って万能といえます。既に名高い中華、エスニック料理との相性の良さはもちろん、何本か組み合わせれば、フレンチ、イタリアンのコース料理にも対応できますし、もちろん和食にも合わせやすいものです。
特に煮物と魚の焼き物、天ぷらのつゆなどとの相性がよく、温度を変えることによりあらゆる食材に合わせることができるでしょう。

 
また手ごろな値段も手頃であり買いやすいのも魅力。唯一の欠点として考えられるのは熟成能力が低いこと(タンニン、ミネラル分が少ない為)ぐらいでしょう。

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<5種類のロゼ他、ワインの特徴とテイスティング>
さて当日はロゼワイン種類を飲みながら、それぞれの味が違うところを楽しんでいただく機会になりました。それぞれの中身を見ていきましょう。

 

イタリア ロンバルディア地方

モンド デル ヴィーノ ピノネロ フリッツァンテ ロゼ

ボックスワインなどを多く手がける大きな生産者。微発砲でしっとりすっきり飲みやすい。口当たりよく食事の邪魔をしないので、枝豆、冷奴でも大丈夫。当日は漬物にも合いました。やや白に近いタイプ

 

 

ブラジル

ファウスト ブリュット ロゼ

イタリア移民によって造られたワイナリー。瓶内二次発酵というシャンパーニュなどと同じ泡の造り方で、骨格がある為開けたては若干ビター。例外的に少し熟成もするタイプ。やや色身は濃く、サーモンや豚肉などにも合うタイプ。

 

 

ポルトガル トラズ・オス・モンテス地方

ガタオ ロゼ

スーパーなどでも出回っているご存知猫ラベルのワイン、実はロゼもあります。ちなみにガタオが猫という意味。色合いは濃い目のサーモンピンクでやや赤よりながら、すっきりして冷やしてさっくり飲めるタイプの為、ポップコーンやポテチなどスナック菓子やサンドイッチに良い。

 

 

イタリア ロンバルディア地方

10x10ディエチディエチ

フランチャコルタというシャンパーニュ製法の泡を造るメーカーの廉価版。緻密でしっかりした造りで酸もしっかり立っている為、辛口スパークリングを飲みなれていない人からは「重く感じる」と声も少なからずありました。色は限りなく白に近く、淡い色合いのチーズや生ハムとの相性が良いです。

 

 

フランス コートデュローヌ地方

ルメアージュ・ヴァン・ド・フランス・ロゼ

シラーを使った南フランスのロゼ。ちなみにローマ時代からの伝統的な製法を蘇らせようようとした生産者によるもの。色づきはよく、コクもありますが、シラーのワイルドさはかなり中和され、飲み口よく、参加者からも好評でした。

麻婆豆腐にはこれが一番合いました。焼きそばでも大丈夫でしょう。

 

 

フランス ボルドー地方

シャトー ムーラン ラ グラヴィエール 2002

この日唯一の赤ワイン。若いうちにはでないボルドーワインの複雑さを味わってもらうために用意。複雑さ、まろやかさ、余韻の長さはやはり10年以上経たないとなかなか出ないもの。ロゼばかりのあとだったので、参加者からはこの日一番の反応。ロゼには複雑味もなかなか出せませんので。枯れきっていない古酒は中華に合うといわれます。

 

この日の麻婆豆腐には悪くない相性ですし、甘酢の肉団子なども合うことがあります。といっても古酒の風味は繊細ですので、ワインの種類、熟成度合いによって見極める必要はあります。

 

 

 

言わば、「ロゼワインは白の進化系」ともいえます。今年の夏はバーベキューも夕涼みも、冷えたロゼで楽しんでください!

 

 

最後までお読み頂きありがとうございました!

 

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