長野県のほぼ中央、諏訪湖のほとり岡谷市にある豊島屋。「神渡(みわたり)」という長年地元で知られた銘柄と21年前に限定流通品としてご子息で清酒部長の林慎太郎さんが産み出した「豊香」を飲み比べる、ナイトフィーバーが開催されました。

実は長年日本酒好きに愛されてきて、当WineLive.netでも過去3回レポートしたナイトフィーバーも今回が最終回。会場の越後屋五郎兵衛がこの日で閉店してしまったからです。

 

「豊香」は、ジョエル・ロブションの息子(ルイ氏・株式会社ルイRの代表)との縁故もあり、フランスの星付きレストランなどでもオンリストされ、ヨーロッパ市場に強い、数少ない蔵のひとつ。

「かつて米国輸出頼りだったがリーマンショックで大打撃を蒙った。そのためフランスでの展開を考えた。現在はヨーロッパなど9カ国に輸出をしている。ヨーロッパの主要都市はもちろん今はイビサ島にも輸出している。」

 

他社がやらない事を、独自のこだわりで行うのが林さん流。

まず、他社は必ずといって良いほど兵庫の山田錦か岡山の雄町のいずれか(又は両方)用いて酒を1,2割仕込むが、林氏は「とうの昔に山田はやめました。」といい、長野県産米のみで仕込む。

白樺高原といった1,000m級の田で栽培しているのも特徴。標高が高いと粒が小さくなるという。そして契約農家から米は全量買取をする。「何年も一緒にやっているパートナーを守るのは当然のこと」

限定流通銘柄に対する考え方もストイックで、「あちこちの店や百貨店に出しているのは真の限定流通とは言えない。」いろんな方に相談をして、現在は都内でも6軒のみ、他は1道府県1軒の割合でしか置いていない」という。

「日本酒の蔵にはどこも歴史がある。それは代々受け継がれてきたもので、買収でオーナーが変わるボルドーのシャトーとは根本的に違う。」

「百貨店のバイヤーの中には名刺を見せれば、それで限定流通品をよこしてくれると思い込んでる人がいる。こちらが三度出向くより一度蔵に来てもらうのが一番早い。」

業界全体を見て、全うなヴィジョンを持った人でないと出てこない言葉ばかり。

信頼できる蔵、というものはこうしたぶれない姿勢にも出ると思います。

 

 

さてお酒の味わいは薫り高く、細やかで食事に寄り添う酒とも言える。

 

 

大吟醸

やや甘みと共にすっきり感があり、さらりとした口当たり。その後に奥にじわりと旨みが広がります。細やかさと飲みやすさが共存するお酒。

 

純米吟醸

穏やかでわずかな切れ、続いてメロンのようなフレーバー。これも細やかで派手な甘さはない。この日の南蛮漬けのような酸味のあるものに合います。

 

初しぼり

軽やかにはじけるような酸、旨みと甘が口中に広がる。穏やかでバランスが良く、華やかながらも飲み飽きないお酒です。個人的にこの日一番の好み。

 

特別純米

口当たり甘みを感じながらも余韻にキレがあります。この日の新タマネギのかき揚げのように玉ねぎの食感、柔らかさに馴染みながら、油分をさらりと切るところなど、絶妙な食中酒です

絹ごし

熱燗から上燗の温度で頂きます。さっぱりと軽快なキレ、かつ滑らかで飲みやすくサバのみりん干しはもちろん、添えられた大根おろしともよく合います。旨みのある食材を引き立てる魅惑の燗酒

 

神渡 地元銘柄生貯蔵酒 春誂

豊香とは全く別の、すっきりとみずみずしい酒質。メリハリある甘み、辛み等はそぎ落とし、透明感がある。感じ方では水っぽさがあるが、温度を上げ、ひや(常温)でフワリとした感じを楽しむのも一興。穏やかで非常に細かいお酒。

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さて、県内周囲の蔵からの人望も厚い林さん。「長野の酒メッセ」とうイベントの取りまとめも行っている。昨年参加したが、本当にレベルが高い蔵ばかり。

越後屋五郎兵衛店長でナイトフィーバー仕掛け人の三浦さんは、新天地、赤坂の「大和屋半蔵」で今後お酒を紹介してくださり、イベントも仕掛ける予定とか。待ちましょう。

昨年のレポート

700銘柄以上が集合、外れの少ない酒どころ「長野の酒メッセ in Tokyo」

大阪4/16東京5/9行われる。今年もたのしみです。

 

 

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