前編に引き続き、午後のテイスティング。ピノノワールを仕込む日本の生産者が、他の品種のワインも出展。実力派ワイナリーが多いため、今の日本ワインのトレンドと水準を知るには恰好の機会です。

ここではピノ・ノワールのワイン8種とそれ以外の品種やスパークリング6種の味わいをご紹介します。

第二回ピノノワールサミット前編はこちら

<丹波ワイン> ピノノワール2015
色はかなり淡いがタンニンはしっかり。骨格も中程度にある。味わいはやや内向きで、開いてから飲むのも手。

<高畠ワイン> ゾディアックピノノワール(川邉さんを撮ってボトルを撮らず)
樽の香ばしさ、甘みなど、ややカリフォルニアスタイルのボリューム。
奥に酸がぴっちりと通り、味わいの要素にややばらつきが残るが全体が、馴染むのを待てれば極上の味わいにあることは間違いない。

<セイズファーム> ピノノワール2016

まだ2回目のヴィンテージながらすでに高い完成度。緻密で細かい酸と旨み。海外、特にブルゴーニュのピノノワールのようなメリハリと、透明感ときっちり伸びなボディと鮮やかな酸もあるワイン。
赤い果実の風味は主張が強すぎず、くすぐるように細やかに散りばめられ、清潔感と飲み心地の良さがあるワイン。ブルゴーニュ好きなので、このスタイルが一番しっくり来るピノ。

<旭洋酒> ピノノワール 2016

ほのかに出汁のような風味と細かいベリーのタッチ。フレッシュかつ華やかでチャーミング。現時点で穏やかで味わい深いスタイルも、時間とともにしっとりとした旨み、主張も出てきそう。

鈴木さん「2017年5月の長雨に苦しめられた。また秋の熟しが今一歩で、収穫の遅い品種は特に苦戦した。ピノノワールに関しては色を気にししなかったため、影響は少ない。」

<山崎ワイン> リザーブ ピノノワール 2015
(全房発酵させたものを半分入れて、手摘みで選果。900本のみリリースの限定品。)後半にジャムやボリューム、力強さが広がる。風合いに甘さが広がるが、決して全体がだれて乱れるわけではなく、旨みと集中力がある。

山崎さん「このリザーブは全房発酵させたものを半分入れて、手摘みで選果。900本のみリリースの限定品。」

<ボンジュールワイン> a. et y. 鞍掛ルージュ ピノ・ノワール 2015
樽の苦味が強い慣れてくると取れてくる。ベーコンやスモークなどの風味。スモークチーズなどの風味、メリハリと燻製の風味がある。もう少し果実の厚みが欲しいところ。

<小山ワインズ> ピアソンズ ヴィンヤード ピノノワール 2014

果実の鮮やかさ、深み、ややスモーキーなタッチと旨み、凝縮感がある。幅と厚み、ややこもったボディながら、数年で複雑味が増しそう。

小山さん「収穫のタイミングを図るのが最も難しい。モンタージュはせず、ピジャージュだけを行い野生酵母にのみで発酵するという、ごく自然な作り。発酵が、毎年綺麗に発酵し止まったことはない。」

<ドメーヌ タカヒコ> ブラン ド ノワール 2015

14年までのワインのイメージに比べて、こもった印象が減り、澄んで穏やかな味わいに。多くの人がより楽しめるスタイルながら、ファンからは物足りないと思われる可能性も。

<朝日町ワイン> ソーヴィニヨン ブラン2016
レモンやグレープフルーツなどのフレーバーがはっきりと出て、特段にキレのある辛口。鮮烈なほどフレッシュ。揚げ物のお供に是非。

近衛さん「2016年は全体的に厳しいヴィンテージだった。2017年ツヴァイゲルトは9月の始めに収穫。これから味わいの結果が分かってくる。」

<丹波ワイン>トラディション ロゼ 2012 (瓶内二次発酵)
アセロラやジャムなどのフレーバー。赤果実の風味がしっかりとし、かつ酸のキレも伴い、もたつかない。
シャンパーニュのセニエ方式のものを彷仏とさせるような、中身と骨格がある味わい。

<山崎ワイナリー> スパークリング
かっちりとした骨格と柑橘中心にドライな風味がある。飲み応えとバランス感の良さから、広く使えるシーンがある一本。

<余市ワイン> ツヴァイゲルト
樽香強めで、漬け物臭さや獣臭さ、ねっとりとした風味がある。酸化したニアンスの中にもコクは感じられる。おそらくしっかりとした味わいのチーズに似合う。

<都農ワイン> プライベートリザーヴ 甲州 2016
グレープフルーツのようなフレーバー、軽い苦味とともに柚子のような、和の爽やかな柑橘の風味も持ち、二口目からじわりとした旨味が伸びる。
飲むたびにハリが感じられ、調和のとれた辛口。ブラインドで甲州のワインであること、日本ワインであることが、どれだけの人がわかるであろうか。これほどのワインには常日頃から出会えるわけではない。

<メルシャン> きいろ香 キュヴェ ウエノ 2015
ステンレス発酵でフレッシュな中にも甲州の凝縮したスモーク感が出ており、アクセントになっている。柑橘の風味や切れ、フレッシュ感が溢れており、爽やかさと骨格を両立させている。
スモークサーモンにはこの上ない相性であろう。