いつもお読み頂きありがとうございます、「竹林」醸造元、丸本酒造の6代目、丸本と申します。
全12回の連載は今回で、折り返しの6回目です。
突然ですが、
お酒を飲んだ後のお茶漬けはこたえられませんね。でも時々うっかりして、お茶を注いだのに電話を受けてる間に10分経ってしまい、食べようと思ったら、お米がお茶を吸ってぱんぱん。やはり、お茶漬けはサラサラの方が美味しいです。
ところで、同じことが日本酒の発酵タンクの中でも言え、発酵期間約1ヶ月間の最後で、お米は全部溶けてドロドロでは困ります。みなさんのお宅では、ご飯は電子ジャーなどで”炊き”ますが、酒蔵では”蒸し”ます。しかも事前に吸わせる水分の精度を0.1%まで問うハンパない厳しさ。そうやって溶けにくいご飯に仕上げます。
また、酒蔵では「こうじ」と言って、お米にカビを生やした材料も作ります。うっかり食パンを放置すると一週間もすればカビが生えるし、お正月のお餅も2週間もすれば表面に緑色のカビがポツポツ出てきます。
このお餅をカットして見ると、カビは表面だけで中には食い込んでいません。しかし酒蔵では、わずか48時間のあいだにカビを発芽させ、カビの菌糸をお米の奥深くまで成長させるという神業をやってのけます。間違いなく硬いお米より、中身が粗の米が適当です。
しかし考えてみれば、上記の二通りのお米の使い方はあまりにも異なり、要求されるお米の特性も異なります。本当は、「同じ品種でも、使い方に向いた栽培方法」で品質を揃えたいものです。その方が、お酒が良い仕上がりになります。
次回は、意外と知られていない「田んぼは一枚ずつ個性がある」というお話です。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!
「竹林」丸本酒造のHP
http://www.chikurin.jp/