Craft Sake Day FUKUSHIMA
4月に六本木で行われ10日間で70万人を集めた日本酒イベント「Craft Sake Week」の福島編スピンオフ企画が1日限定で行われました。今回は食・住などの交流イベント「FUKU FES」の一環として行われ大盛況でした。
震災後の蔵元の不断の努力もあり福島県は新酒鑑評会で5年連続日本一(広島県と肩を並べる記録)を獲得し、実力は全国トップレベルとされて久しいのですが、さらに「愛される酒」のポジションになるにはこういったイベントは欠かせません。
このイベントのプロデューサーであり、イタリアセリエAでも活躍し抜群の知名度を誇る元サッカー日本代表・中田英寿氏が後述のトークショーのあと蔵元ブースにしばらく滞在。
その知名度故に、多くの参加者がスマホ等を向けていましたが、参加者の撮影もその後数分で終わるのを見越したように動じずブースに留まり、一軒一軒試飲しながら蔵元と話をしている姿に、現役時代と変わらぬ、芯の通った、俯瞰目線で物事を判断できるらしさを見ました。こ
さて、イベントのステージで30分ほど、その中田さんと福島県知事のトークショーがあり、プロデューサー目線での彼の福島の酒に対する「想い」が伝わってきましたので、抜粋意訳(原文のままではありません)してご紹介します。冒頭の部分はご存知の方も多いかも知れませんが、フクシマに対する中田氏の見解は私は始めて聞きました。
個人的には、同じように他の世界(ワイン)からやってきて日本酒の魅力に取り付かれた私にとって、福島の酒の欠点と課題のところには共感する部分も多かったです。
(ステージ撮影禁止だったため画像はありません)
中田英寿氏が「Craft Sake」のプロデュース、アプリ「Sakenomy」を始めたきっかけについて
「イタリアで現役サッカー選手として活躍していた頃、現地の文化でもあるワイナリーに頻繁に訪問していた。(その頃自身プロデュースの商品も出されていた。)
日本に戻った際47都道府県すべてを回って、職人の技、工芸品に触れる一方で、酒蔵にも訪問。匠が介する日本酒の深さ、技術の高さに触れた。そんな折海外に進出している和食や日本料理店で銘柄を言わず“酒をくれ”と外国人に言われている現状に疑問を持ったのが始まり。」
「銘柄、酒米といったそれぞれの情報をまとめたプラットフォームが必要だと思い、海外でも日本語が読めないというハンディキャップがあるので、Sakenomyなどのアプリを開発した。文字を読まなくてもラベルの撮影のみで蔵・銘柄情報を知ることが出来るようにと。」
福島の酒の長所と欠点は?
「特別純米、純米などが強く食中酒であること。福島県は広い土地により、浜通り、会津などそれぞれの地方色豊かでそれぞれの地方ごとの酒の特徴もある。」
「福島は総じてレベルが高いものの、突き抜けた特徴のある商品が少ないのでは。それが同じ東北でも山形、秋田との違いではないか。」
日本酒、そして福島の酒の今後の課題
「洋食にもとても合う、中華にはワインよりもよっぽど合うのではないかという印象がある。かつて和食料理店にワインやシャンパーニュは20年前にはなかったが、それが普通になった。逆のことができる。」
「この先は地元の食材との組み合わせや、多い割に知名度イメージがそれほど高いと言えない、“福島の温泉”との連動が大切ではないか。つまり温泉宿に泊まって、後を気にせず飲む。車に乗らずに酒を楽しむ環境作るということ。」
試飲12種(蔵12軒分)
さて肝心の酒の味について。
奈良萬 純米 生 おりがらみ
メロンやさっぱりとしたキレと口当たりの良さが両立。後口のキレがすっきりあり、軽く酸が伴います。口当たりまろやかながら後口はしっかりとしています。最初の一杯にもってこいのお酒。
笹正宗 特別純米
香り、口当たりともにフルーティー。味わいは細やかでモダン寄りのスタイル。メロンやマンゴーバナナなど、複雑な風味もあるが派手では無い、しっとりとしてさらりと流れる。塩辛とか辛めの魚のつまみと相性が良いでしょう。雑味がなくクリーンで冷酒がオススメ。温度が上がると穏やかに米の風味が広がりカスタードのような風味もわずかに現れます。
南郷 特別本醸造 ひやおろし
クラシカルでどっしりとしてコクがある。普段から飲んでいる人向き、ぬる燗向きで、トロみと米感がしっかりとある。
生粋左馬 純米吟醸 生原酒
磨いた透明感が心地よく、切れ、しなやかさ、華やかさが現れています。フワリとした余韻、米のようなハツラツとした印象で、味わいはピチピチと米のエキスが細やかに弾ける様に感じる。
温度が10度から12のぐらいでトロピカルフルーツのような華やかさが出ます。冷酒か冷や(常温)がお勧めです。
田村 純米吟醸
口当たりから酸や切れに伴って米の風味が広がり、軽快ながら丸み、心地よい米感。艶やかで透明感を感じます。集中力とキレが特徴で、温度が上がることにより、後口にしょうがのような風味もわずかに現れます。
一歩己 純米 無濾過生原酒
アロマが立ちワイン的でフルーティー。艶やかな味わいで、キレ、苦味が適度にありとろみ、細やかさ、膨らみがあります。冷酒よりやや温度上げた冷やが良さそう。
ただ、会場の「会津地鶏」に合わせるには冷酒気味で合わせるのが良かったです。わさびっぽさも若干ある為、他にはハーブ、シソを使った料理に合うイメージ。
大和屋善哉 純米 生詰
アタックにキレ、シャープな印象。アルコールの広がりも適度で華やかさとがあります。鶏肉の繊維質や弾力感がまし、後口まで伸びるお酒です。もたれず飲み口の良い味わい。
会津中将 純米吟醸
甘み、すっきり感がほどよく中和して、乗み心地が良い。穏やかな辛みもあるが、大根のようなみずみずしさのある辛み。米の華やかさがあり、旨みをほどよく感じます。
奥の松 遊佐 純米吟醸
ふわっと優しい外に開いた味わい。丸くチャーミングでまったり感の良い、万人受けしそうなお酒。
一ロマン 純米大吟醸 生原酒
(ロマンシリーズで最も早くリリースされたもの。)底知れないとろみと深みがあり、その突き抜けた感じを微細な苦味が支えます。しかし非常に軽い苦味。インパクトとまったり感が同居した他にあまりないタイプ。
名倉山 良き哉 純米吟醸
磨いたコメの風味がストレートに伝わり、伸び、透明感と適度なしなやかさ、コメ感があります。飲み疲れせず、バランスが良い、広いシーンで活躍しそうな酒です。
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