これを読めば「勉強しなくても、ほぼ今ある知識で、フランスワインのラベルを読める」ようになります。
今日はフランス語とフランスワインについて
日本でも最も信頼度が高く、そして一本当たりの単価が高く、(ワインが飲める人なら)全く飲んだ事がない人はいないのではないか、というぐらい広く流通しているフランスワイン。しかしそのボトルを見ても書いてあるのは、もちろんほぼフランス語のみ。
そりゃわからんよ!と言いたいところでしょうが、そのラベルから情報を少しでも引き出すことができるとすれば、これほど心強いことはないですね。今日はフランスワインを飲む時に役立つフランス語について、良く耳にする外来語を使って、なるべく勉強せずに分かるようなヒントをお伝えします。
以下の項目別にご説明します。
「お菓子の名前や歌の名前で分かる、色の名前」
「IT用語がワイン用語に変わる?すでに良く使ってるあれで特定」
「AとCのサンドイッチを覚えるだけ!出身、ばしょが分かる」
「生産者名を知りたければ○○ボトルの後を見る」
「おまけ:中級編a’ と au の違い」
「お菓子の名前や歌の名前で分かる、色の名前」
ではフランスワインの実際のラベルを見る前に皆さんがご存知の外来語から連想できる、基本的な用語を挙げておきましょう。
まず最も簡単なもの、皆さんスイーツの「モンブラン」はご存知ですね。これはフランス南東、スイス、イタリア国境にある山の名前mont blancから取られています。
このmont blancモンブラン、日本でいうと、実在する白山と同じ意味、つまり「白い山」なんです。
ちなみに世界遺産で一躍脚光を浴びた「モンサンミッシェル」も何のことはない。montが山、saintが聖人、michelミシェルは(他の言語ではミカエル、ミケーレ、マイケルなど)人の名前ですので、「聖ミッシェルの山/丘」、という意味に過ぎません。
ここでブランが白ということが分かれば、レストランのワインリストの上に書いてあるvin blanc ヴァンブランですと、「白ワイン」という意味になります。
ちなみに、このvinヴァンはラテン、イタリア、スペイン語のvinoヴィノから転じたもので、ここからドイツ語wineヴァイン、英語ワインになっているだけです。
続いて「vin rougeヴァンルージュ」はどうでしょう。かつて「ルージュの伝言」という歌もあったように、rougeルージュとはメイクアップの世界では口紅ですが、一般的に赤を指します。よって「赤ワイン」という意味です。
ちなみに日本語カタカナ表記をすればルージュですが、発音はより「フージュ」に近くなります。
イタリア語やスペイン語のRの巻き舌とは明らかに異なるのがフランス語のRです。
ここでpinot blancピノブランという品種があります。このブラン以外にもピノ同族異種には、pinot noirピノノワール=黒とpinot grisピノグリ=灰色というのがあるのは、ワイン好きならご存知の方も多いはずですね。
「IT用語がワイン用語に変わる?すでに良く使ってるあれで特定」
ここからはは実際のラベルを見て単語を拾っていきましょう。
割と知られているところから。生産者名の前にchateauシャトー(特にボルドー)domaineドメイヌ、(特にブルゴーニュ)と書かれているのをご存知の方は多いでしょう。
ちなみにこの2つは生産者名を特定する固有名詞の前につくものなので、「シャトー○○ください」「ドメーヌ○○ください」といっても、○○を特定しない限り、生産者名、商品名を何も定義していないことになってしまいます。
今更ですが、意味はご存知でしょうかchateau英語だとcastleキャッスルに似ていませんか?このようにラテン語>イタリア語>スペイン語>フランス語>英語とほとんど綴りは一緒、読み方訛りの違いだけで実は同じ単語というパターンは結構あります。フランスワインのシャトーと南蛮由来のcastellaカステラ(旧スペイン国名由来)は、実は語源としては同じです。
ドメーヌも典型的です。皆さんパソコン用語の「domainドメイン」ならご存知ですよね。このドメイン=所有者という意味合いです。
フランス語も同様、畑も所有してワイン生産をしている生産者、と考えればよいでしょう。
このラベルのドメーヌの後、シャトーの前を見てみましょう。共にdeディーイーと書いてあります。これをド(とドゥの間)と読みます。これは何のことはない英語で言うとofオブを表す「~の」です。語呂合わせで、日本語の「での」だと思っておけ頂ければ良いです。これを知っていると知らないのとではフランスワインのラベル、フランス語の読み方の知識量が全然違ってきます。
このようにグランヴァン何々、と書いてあるものは結構あります。日本では英語の方が浸透してきているので、「burgundy wineバーガンディーワイン」、の様に形容詞が前+名前が後ろのパターンが当たり前のようになっていますが、ラテン語圏では実は逆、それをつなぐのがdeです。
つまり形容詞が後ろ、「grand vin de bordeauxグランヴァンドボルドー」で「ボルドーの偉大なワイン」という意味合いです。これ自体は「この酒すごいぞ!」と言っているだけなので、生産社名や商品名を特定する上では、何も役立ちませんのでご注意を。
続いてよく使われているのですが、小さいことが多いので目立たない単語アa’です。これもなんということはない、英語のアットatです。これでもぴんと来ない方には、いつも使っているメールアドレスを思い出してください。そうあの@です。これなら慣れ親しんでいますよね。
このa’の後、場所を指し示すことがほとんど、つまりワインラベルでもの後に来るのはどこどこの、という場所や由来を表します。つまり産地です。
「AとCのサンドイッチを覚えるだけ!出身、ばしょが分かる」
次は、ワインの産地を調べるのに、我々プロも必ず確認するもの、そしてワインスクールで真っ先に習うもの、有名なワイン法のAOCというやつです。これも法律上規定で難しそうなイメージですが、最後に超絶にはしょりますので、是非お付き合いを!
「Appellation d’Origine Contrôléeアペラシオン ドリジヌ コントロレ」と読みます。オリジヌorigineは「英original=独自の」、contrôléeコントロレ「英control=法律でコントロールされた」という意味です。なんとなくで良ければ、ここまでは難しくないですね。
残るappellationアペラシオン、実はよくご存知の英語の単語「アピール」と一緒なのです。つまり主張する=呼ぶという意味。フランス語レッスンの最初に覚えるもの、自己紹介で「je m’appelleジュマペル」というのがありますが、このAOCのappellationアペラシオンとジュマペルのappelleは一緒です。法律でコントロールされた、○○産のです、ぐらいの意味しかありません。
(最近は自己紹介はje m’appelle より 「Je suis私は○○です」の方を良く使うみたいですが)
これを日本語で小難しく、「原産地統制呼称」と呼んでいるだけです。この「アペラシオンとコントロレの間に産地がくるんだな」、「これは地名を表しているんだな」と分かっていただくだけで充分です。ここで覚えやすいこじつけを。AとCの間に挟まれたのが場所。AとCの間、普通は「B」ですよね?つまりB=場所と覚えてください。強引ですがいいんです!
「生産者名を知りたければ○○ボトルの後を見る」
生産者の特定に役立つものを1つだけ。よくmis en bouteilleミザンブティーユ何々と書いてあります。アンは英語inの意味、boutilleブティーユは英語のbottleボトルです。
misミは、英語に対応する単語はありませんが、これが「詰める=入れる」だと思ってください。つまり「ボトルの中に入れる」です。瓶詰人社名、つまりこの後に来るのが生産者名ということです。mis en bouteilleの後にau かparと書いてあるパターンが多く、その後の固有名詞が生産者名と思ってください。
ドメーヌとだけ書いてある場合は他の箇所に、そのドメーヌの名が書いてあるので、それが生産者名です。写真の例ではauの後がdomaine/chateauだけなので、ラベルの下部や裏面に記載のdomaine/chateau○○を見れば分かります。
「おまけ:中級編a’ と au の違い」
今までの内容、それ位のことは知ってるよ!という方の為に問題。上のハイツ=ロシャルデが生産者名、下のシャサーニュモンラッシェが産地というのはお分かりでしょう。その根拠を、「ドメーヌがついてるから」「シャサーニュモンラッシェは有名な村だから」以外の理由で、フランス語の表記を使って普遍的に見分ける方法をご指摘下さい。
ヒント:上記にもあるa’の使い分けです
生産社名=domaineの前はauになっています。これはa’+(定冠詞)leの事です。定冠詞leは固有名詞の前にしか付きませんので、後ろに来るのは社名・人名位しかありません。
シャサーニュモンラッシェの前はa’のみ。広い意味では地名も固有名詞かも知れませんが、地名にauはまず付きません。よってこの違いを知っていれば、
au+社名
a’+地名
と指摘できるはずです。知っておくと便利ですよね。
いかがでしたか?知っていることを使ったり、語呂あわせをすると、フランス語もそれほどの抵抗は無くなったのでは無いでしょうか?是非お店のワインエチケットで確かめてみて下さい!!
いずれイタリア語、スペイン語編も掲載させて頂きます!
最後までお読み頂きありがとうございました!
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