本サイトでもおなじみ、丸本酒造の蔵元丸本仁一郎さんによる「農産酒蔵発表会」が行われました。
この蔵が真髄としているのは自社での酒米栽培。特に麹米、掛け米に向くお米をそれぞれ作り分けるということです。

本発表会の内容は、winelive.netで好評連載中の「丸本酒造当主が説く日本酒のいろは」の内容を大部分先取りしたものです。結論を読みたくない方は今はここから先に進まないで下さい!

 

逆に、日本酒の造りの仕組みをご存知の方、業界の方には為になる話もありましたので、是非お読み下さい。最後に同内容の発表会に参加できるお知らせもございます。

本記事の内容は以下の3つのテーマに分かれます

米の作りわけ=「目的別栽培」をする意味

田んぼによって違う!出来る米の性質

積極的な作り分けの為に;土壌分析と施肥計画

4種テイスティング

 

米の作りわけ=「目的別栽培」をする意味
そもそも、同じ酒造りの中でも、日本酒の麹米、掛け米は用途が全く違い、逆の性質を持ったお米の方が酒造りに向くという性質があります。

 

丸本さん流に言えば、酵母が主役の発酵では、米は溶けにくく、「お茶漬けさらさら」の状態が「使いやすく」、一方麹菌が主役の麹造りには心白が大きく、「お餅に生えるカビ」の様にはぜ込みしやすい方が使いやすい。

 


そのためそれぞれに心白率の高いお米と低タンパクのお米を作り分ける必要があります。これが目的別栽培です。

 

 

田んぼによって違う!出来る米の性質
丸本酒造では60の異なる田んぼ、圃場がありますが、それぞれの場所環境によって育つ米が違うそうです。
また同じ圃場の中でも列が違うだけで性質が異なるお米が育ちます。
少し分かりにくいですが、この写真のように色が違っているところはその違いが見て取れます。

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これはそれぞれの田で育てられる米のデンプンの主成分、「アミロペクチン」の構造によります。鎖状に繋がるこのアミロペクチンが長いか短いかによって、米の溶けやすさが変わってくるのです。逆に言うと、これを作り分けに活かすわけです。

 

成分分析で、この長さが分かると、でんぷんの溶けやすさと、溶ける温度がわかります。この鎖が短いほうが溶けやすいので麹造りに向く、ということです。これらを元に作り分けると、酒が作りやすく狙った酒造りができるというわけです。

どの土地でどういった米ができるのかについてはあらゆる気候条件が絡みますが、その重要な要素の一つに水の温度があり挙げられます。それぞれの田の米で。それぞれの田んぼの用水がどこなのかによって変わってきます。

 


この写真のように池の水、比較的暖かいいと流れてきたばかりの湧水、比較的冷たいでは出来上がる米質が違ってきます。

 

 

積極的な作り分けの為に;土壌分析と施肥計画
できたものの収穫を待つだけだけではなく、丸本酒造では各圃場によって土壌分析をし、それぞれのマグネシオウム、カリウム、鉄分などを分析。データを取るのに丸一日、分析にあと3日かかるという大変な作業です。

 

その土壌の違いによって肥料(主に窒素)を与える量成分量を変えています。施肥ソフトというものがあり、麹用の柔らかく、心白が多い米を育てる場合のみ追肥をするそうです。

 

こうして、麹米用、掛米用を、畑の特性を見て育て分け、さらに追肥などそれぞれを活かす行程=手間を加えることで、「コントロールしやすく、狙った酒」が出来るのです。

自社で米作りを始めて20年にもなる丸本酒造でも、成分分析を始めたこの数年でようやく「どの田に何をすべきか」的確なジャッジが下せるようになってきたとの事でした。

 

全ての酒蔵が自社栽培をしているわけでも、これからするわけでもありません。

しかし、酒造りが原点回帰して品質、味が向上する一方、劇的な技術革新は今後も考えられません。そんな中でこの「目的別栽培」は、酒造りに一石も二石も投じる、キーワードになる予感がします。

 

4種テイスティング

かろやか

スムースで瑞々しい、引っかかるところなく舌の上を流れ、ほのかな米の風味が広がるあたり、まさに「かろやか」。食中酒としてほぼ万能ですが、やや味ののった魚介、例えばほたて刺など良いのではないでしょうか?

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たおやか

上記に比べ、丸く、ふくらみのあるフルーティーさと艶やかさが増した一本。旨み、甘みも程よく広がりますので、海老や燻製など、旨みを内包した、塩みの強くないつまみがおすすめです。

 

ふかまり

やはり竹林シリーズの看板とも言え、強いインパクトのあるお酒で、始めて飲んだときはその存在感に驚きました。古酒を一部ブレンドすることで、まろやかさ、コク、旨み香ばしさなど次々と押し寄せるフルボディー。個人的には好物の角煮が食べたくなる一本です。

 

大瀞 無濾過純米吟醸

限定品。実は初めて頂いたのですが、ぴちぴちと鮮やかで華やか、素直に美味い!と心躍る一本。日本酒に抵抗、先入観ある方にも、広くおすすめしてみたい、明るい表情のお酒。

 

 

 

このセミナーとほぼ同内容を次回は年明けの1月30日に 、「とっとり・おかやま新橋館2F」にて開催される予定です。発表会という性質上、酒類業界向けではありますが、「是非聴きたい」というか方は、「winelive.net」を見たとお問い合わせ頂ければ、ご参加頂けると思います。詳しくは下記リンク先をご覧下さい。

農産酒蔵からのメッセージFaceBookページ

 

最後までお読み頂きありがとうございました!

 

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