「キャンティクラシコ」というワインをご存知でしょうか?多少ワインの知識がある方ならば、口にしていなくても耳にされたことは必ずあるであろう、有名銘柄です。

が、このワインのファンとなるとどうでしょう?「取りたてて気にして飲むほどの銘柄ではない」と思っている方は多いのではないでしょうか。

その抜群の知名度故に、特別な視線を浴びてこなかったこの産地のワインが、今アツい!のです。最大の話題が、「グランセレツィオーネ(偉大な選抜品)」という新しい上級クラスワインの規定ができ数年で、早くも120社がリリース。世界の名だたる銘醸地に負けないグランヴァンが次々と生まれつつあります。

 

先日日本でのキャンティクラシコ協会のプレゼンテーションにおいて、編集長がワイン王国でもご一緒したイタリアワイン国内屈指の権威、宮嶋勲先生による、とてもわかりやすくて為になるセミナーがありましたので、その内容をお伝えします。

(後半の23社テイスティング編はこちら

キャンティクラシコという産地の歴史的背景

キャンティクラシコの気候、産地特性

キャンティクラシコのトレンド(村名とグランセレツィオーネ)

村別グランセレツィオーネ8種テイスティング

 

 

キャンティクラシコという産地の歴史的背景

キャンティクラシコという地域は、元来フィレンツェとシエナの間、何百年にわたり貴族の所有地としてのワイン造りの歴史を有します。その土地の優位性から、世界的な銘醸地として知られるようになっていきました。

しかし現在の様な法整備が整う前、元来の「キャンティ」と呼ばれた地域の周りの生産者も、次々とその名にあやかりたいと、ワインを量産したことで、全体として質が落ちるという結果に陥ってしまいました。

そこでもともとキャンティの中心部の産地生産者が「クラシコ(古典的な)」という名前をつけて、差別化を図ることになります。

 

キャンティクラシコは素晴らしい土地ながらその産地名のワインでトップを狙って来れなかった悲しい過去があります。長年キャンティというワインにはトッレビアーノという白ぶどうが混ぜることが伝統的に決まっていて、飲み心地良いものの、どうしても濃縮感、本格的な力強さは規定上出せないというパラドックスがありました。

そこで多くの優れたワイナリーは、キャンティクラシコの土地でありながら、その名前を捨てて国際品種のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラーなども交え、規定外のプレミアムワインを次々にリリース。こちらが世界の市場を席巻していくことになります。

これがご存知スーパータスカン(トスカーナ)です。その後白ぶどう使わないなど、キャンティクラシコ独自の規定が見直され、キャンティ伝統の地で、キャンティ上級ワインをスーパータスカン以外に造る悲願、これがグランセレツィオーネにつながるわけです。

(と、ここまでは多くの人が知っている話です。)

 

 

キャンティクラシコの気候、産地特性

キャンティクラシコはイタリア半島でも内陸部で海の影響を受けにくい場所です。昼夜の寒暖差が大きく、引き締まった酸を中心に(皆が酸っぱいわけではありません。)複雑でエレガンスを持ったワインになることが多いです。

ちなみに南に下った銘醸地、これも知名度の高い「(ワイン名はブルネッロディ)モンタルチーノ」は内陸ではあるものの、隣の海沿いの産地マレンマからの気候影響が大きく、先生曰く「海洋性の産地」です。肉付きの良いおおらかな、アルコール度数が上がりやすいワインになる傾向があります。決してサンジョヴェーゼグロッソという別クローンから造るからではない!とされていました。

 

この地のワインはサンジョヴェーゼ主体で複数のぶどうをブレンドして造られることが多いです。一般的にぶどうのセパージュ(品種)のなかには、自らの個性を色濃く出すものと、自分が控えめでその土地畑の個性を出しやすいものに分類出来ます。土地を反映しやすいものを「テロワール型」としたときに、サンジョヴェーゼもそれに含まれるといえます。

ブレンドをすることによって、ボルドーのように品種特性より魅力的な土地の個性を体現することができます。(私はブルゴーニュ他単一品種の産地にも、素晴らしい特性の産地はあると思いますが。)

 

 

キャンティクラシコのトレンド(村名とグランセレツィオーネ)

キャンティクラシコの産地の特性を活かす動きとしては、最近注目されているのが、町村(コムーネ)ごとの特徴、個性をワイン反映しながら、その名前をもっとアピールしていこうという動き。つまりブルゴーニュ・ボルドーのようなの村名ワイン対する意識が強まりつつあるということです。キャンティクラシコも行かれた方なら分かると思いますが、フィレンツェ、シエナ間の広大な土地に、畑が点在しているので、地域内でも当然様々な土地の違いが出てくるはずです。今回のテイスティングでもその村ごとの違いが面白いほどよく出ていました。(分かっていたつもりでも、これだけの酒類を同時に飲めば見えてくるものもあります)

因みに、キャンティクラシコの新ヒエラルキー3つは上から「グランセレツィオーネ」、次がかつてからあった熟成期間を延ばしてリリースする「リゼルヴァ」、一番下が何も付かない「キャンティクラシコ」です。

tipologie-chianti-classico-02

下記のテイスティングで出てくるキャンティクラシコのコムーネ(町村)は(北端地点で比べて北から)

グレーヴェインキャンティGreve in Chianti

ラッダインキャンティRadda in Chianti

カステッリーナインキャンティCastellina in Chianti

ポッジボンシPoggibonsi

ガイオーレインキャンティGaiole in Chianti

カステルヌォーヴォ ベラルデンガ Castelnuovo Berardenga

caratteristiche-territorio

その他のコムーネ(町村)は

サンカッシャーノ ヴァルディペサ San Casciano in Val di Pesa

タヴェルネッレ ヴァルディペサ Tavarnelle Val di Pesa

バルベリーノヴァルデルサ Barberino Val d’Elsa,

 

最初に挙げたグランセレツィオーネですがこれは「優れた葡萄を使った上級ワインであること」などあらゆる規定がありますが、一番大きいのは「自社畑のぶどうを用いる」ということ。大きなマーケットゆえ、いまだに買いぶどうなどで仕込まれることが多いキャンティクラシコ。そこにおいて高品質なものを差別化するには、この規定は大きいようです。

 

このグランセレツィオーネ、2013年創設時はは30社ほどしか名乗りをあげませんでした。最初は新しいものに対して懐疑的、保守的なトスカーナ人も、この数年の間にあれよあれよと4倍の会社が造っていることになります。

 

 

村別グランセレツィオーネ8種テイスティング

この後は8種類のグランセレツィオーネを村別の違いを意識したテイスティングです。あくまで、上記の村の順番でご紹介します。

最初の行が生産者名、原語、2行目にワイン名、原語、VTです。ワイン個別名の前の「キャンティクラシコ グランセレツィオーネChianti Classico Gran Selezione」は全て同じなので省略してあります。

セミナーが60分ありましたので、それぞれ一巡した後、約30分後に味見しなおしたコメントも掲載いたします。

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>>グレーヴェインキャンティGreve in Chianti

 

ラモーレディラモーレLamole di Lamole

ヴィニェートディカンポルンゴ Vig.di Campo Lungo 2013

(この村は他に比べ比較的標高が高いのが特徴。このワインも350から500メートル級比較的クラシカルなヴィンテージ2013。)色合いは紫というより味にピンクが入り、青みが少ないフレッシュさ。ドライなイメージが強い香りで杉やドライハーブなどが混じり、伸びが良い。味わいは涼しげで、みずみずしい。酸も伸びが綺麗で、いきいきとした印象。クリーンではつらつとしたイメージの味わい。

30分後:香りには甘いべっこう飴やキャンディーのような風味が出てくる。赤いベリーがチャーミングな味わいに。

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カステルベッキオマッジョ Castel Vecchio Maggio

ラ プリマ La Prima 2013

(パンツァーノ黄金盆地と言われる、かねてより優れたワインを生んできたグレーヴェの中でも比較的標高が低い場所。)

黒みがかった赤茶色。スパイス香があり果実の丸み力強さ、集中力が適度にある。

30分後:黒蜜の香り、和三盆のような風味が出現。細かいスパイス感があり伸びがスムーズ。

 

 

>>ラッダインキャンティRadda in Chianti

 

カステッロディラッダ Castello di Radda

カステッロディラッダCastello di Radda 2012

赤く薄くオレンジよりの色合い。香りも伸びがあり細かく、厚みを感じるオレンジ、ドライフルーツのタッチで、ボルドーでいうとオーブリオンのようなスタイル。チャーミングな果実味の中に細かく緻密な酸、ミネラルも少し出る。すべすべした酸で、細かくタンニンが残らない。

30分後:高い瑞々しい香り。赤系の果実さんとハーブが入り混じる。甘草の風味がが強くなっている。

 

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>>カステッリーナインキャンティCastellina in Chianti

 

ロッカデッレマチエ Rocca delle Macie

リゼルヴァフィッツァーノ Riserva di Fizzano 2013

薄いオレンジ色で、赤が弱め。香りは杏やドライフルーツのようなイメージ。みずみずしくスムースで丸く艶やか。ぴちぴちと赤、オレンジ系の果実のニュアンス。アフターに熟したタンニンが入る。

30分後:赤が全体に通る、みずみずしい味わい。アフターにかけドライで締まりがある。

 

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>>ポッジボンシPoggibonsi

 

オルマンニ Ormanni

エティケッタストーリカ Ethichetta Storica 2012

鮮やかな赤色は少なく、端にレンガや茶色のイメージが強い色合い。干し葡萄のような香り。ねっとりと練れたフルーツのペーストのような香り、肉の脂を連想させる。味わいはセミドライフルーツやスパイス、ハーブなど旨みの中に果実の青さ、黒さのトーンをうまく拾って内包している。

30分後:黒くモチモチとした果実の香り。丸くキノコやトリュフっぽい旨味も出始めている。

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>>ガイオーレインキャンティGaiole in Chianti

 

バローネリカーゾリBarone Ricasoli

カステッロディバローリオ Castello di Barolio 2013

(イタリア王国の2代目首相も輩出したほどの名門にして、キャンティというワインの代名詞として長く君臨してきた生産者。)

ピュアながら深みのある少し明るめの赤。香りは細やかながら、果実やスパイスなどの厚みのある香り。味わいは丸く、甘みがあり、アフターに細やかながらもしっかりとタンニンと微かな苦味があり、そこに脂っぽさが乗っているイメージ。ロースト感がアフターに残る。ドライで内向きながら、食中酒として楽しめるスタイル。

30分後:香りの赤果実味が強くなり、樽の香ばしさ、ドライで内向き、酸が立つ。

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ロッカディモンテグロッシ Rocca di Monte Grossi

ヴィニェートディサンマルチェッリーノ Vig. di San Marcellino 2012

わずかにピンク色が差す、透明感のある赤茶色。納豆の一歩手前の酵母っぽい香り、しっかりとした印象。それにやや黒蜜のような香りも。赤黒い熟した果実の風味。味わいは丸み、甘みのタッチがありながら後半ドライ。タンニンは細やか。

30分後:やや黒蜜香。赤黒く熟した果実のフレーヴァー、口当たりの丸さから酸に移行する。

 

 

>>カステルヌォーヴォ ベラルデンガ Castelnuovo Berardenga

 

フェルシナ Felsina

コロニア Colonia 2011

(粘土が強めの土壌。2011年は8月後半が暑かった。)黒から茶色の色合い。樽香最も強く、黒いスパイス感に干しぶどうのの香味交じる。アタックはアマローネ的でタンニンの熟し、とろみがある。酸は低め。煮込み料理にあうイメージ。

30分後:甘く丸い香り。タンニンはしっかりとして飲みごたえある。

 

最後までお読み頂きありがとうございました!

 

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