岩手県酒造組合主催の試飲会にお邪魔してきました。案内者のみに限定して案内された効果か、会場はとても空いていて、ゆっくり試飲、お話が出来たものの、編集長の体調のせいか、そういうお酒が集まったのか、佐賀の時以来、荒く、甘く、重く、コメが溶けた印象のものが多く感じられました。かなり試飲したのですが、批評に終始するのも良くないので、ここでは特に良かった4つの蔵に限ってご紹介します。

 

<岩手銘醸> (今回最も驚き、気に入った蔵。伸び、流れのある酒質はまさに龍のよう)

奥州の龍 特別純米 亀の尾

まろやかでコクがあり、ボディがしっかりめ。

香ばしさがあり、フラットな酒質にアクセントを加える。冷かぬる燗で飲める。

同 純米吟醸 吟ぎんが

香り華やか、涼やかで、後口まで通りが良い。ほのかな甘みとまろやかさ、まったりとした深みがある。

 

同 純米大吟醸 結の香

艶やかで味わいが細かい。旨味、柔らかさがあり、コックリとしている。幅も充分で、後半にうまみがある。

 

 

<泉金酒造> (日本で一番古い地層帯だそうで、ミネラルが豊富な水由来の凛とした表情を与え得る。)

龍泉 八重桜 特別純米 ぎんおとめ

きのこチーズに合いそうなふくよかな香。味に関してはそれに反し、意外とあっさりとし、まろやかでバランスが取れている。

同 純米大吟醸 吟ぎんが

香りは穏やか、かつ辛口の風味ですっきりとするが、優しく染み渡るような味わい。繊細で穏やかな甘みも。

 

同 大吟醸

柔らかくしっとりとした味わい深いお酒。幅、コクがあるが、細やかさもあり、しかもたっぷりとした懐の深い味わい。

岩泉 松茸酒

想像以上に香りがいっぱいに広がり、余韻までしっかりと残る。他にない鮮烈なインパクト。後半が一般的な本醸造らしい少し荒さが残るが温度を上げれば気にならないか。そういった意味でもぬる燗がおすすめ。

 

 

<廣田酒造店> (12月発売予定の商品から、明治時代の醸造法の復刻である“酸基醴酛=さんきあまざけもと”に取り組む蔵。今回は完成度がもう少し上がる「プロトタイプ」だったらしいが、すでにポテンシャルは高い)

酸基醴酛 廣喜 特別純米
華やかで酸にキレがあり、すっきりとしている。重さが残らず、最後までフレッシュで高揚感がある。

同 純米吟醸

細かく深い旨み。ワインのシャブリとかミュスカデのような華やかな印象を受ける。瑞々しい透明感が支配的。

 

廣喜 結の香 純米大吟醸(酸基醴酛ではない)

綺麗で華やか。丸くほっこりとして、上記2つに比べると落ち着きのある味わい。

 
<月の輪酒造> (既に日本酒フェスでもそのポテンシャルの高さに驚いた蔵の別商品を改めて)

月の輪 純米大吟醸 山田錦+結の香
華やかで綺麗、適度な重みで、もとってもたつかないしっとりと旨味が広がる。丸みがあり、バランスよく肩肘はらずに頂ける。

同 純米吟醸 月の輪

まったりとしてコクが増す。幅が広がり旨みも穏やか、ゆったりと広がる。雑味なく広い温度帯で楽しめそうです。