仕事のご縁で、先日某有名企業の社員の方で集まる「日本ワインクラブ」という勉強会が開催されていて、普段は社員以外参加不可のところ特別にお招き頂きました。
この会の新シリーズ「日本ワイン地域対抗トーナメント」という企画で、各地方を代表するワイナリーの選定アドバイスをさせて頂いたのがきっかけです。初回のこの日は1回戦、九州VS北陸+関東そして関西VS中国+四国の対決でした。
ルールはシンプル。それぞれ各地方を代表するワイナリーの泡、白、赤をそれぞれ1本ずつ用意。1つずつ飲み比べ3番勝負のうち、2つで勝利した地域が2回戦に駒を進めます。勝敗は参加者の好みの投票で決まります。
参加されたのは私を除いてその会社の社員の方12人。もともとこの会は、会社で山梨赴任の方が多く、ワイナリーの人と懇意にされていたことがきっかけで、とてもワイン通の方が多く、銘柄発表前からブラインドで「この品種ではないか?」とあちこちで推測の声が上がるなど、プロ顔負けのワインラバーの方々が中心です。
会場は当方運営のグルメサイト「ビミシル」でも紹介させて頂いている大井町の「ラビットピット」さん。本格的なチーズプレートも含め、持込が出来てこんなにコスパの良い、そしてフレンドリーなお店はなかなかありません。
ここからは実際の「勝負」の結果と、私が感じたそれぞれのワインの特徴です。生産県名、ワイナリー名、商品名、ヴィンテージ、獲得票数、主催事務局の方の購入金額の順で記載しております。★印が各対決の得票多数=勝者です。
(私が途中から参加させて頂いた関係で、最初の泡の対決のみ票総数が少ないです。)
第1試合 九州VS北陸+関東
A.泡
大分 安心院ワイン スパークリングワイン 2015 4票 3436円
ドライで日本酒の吟醸っぽい香り。清々しくも適度に引き締まっています。やはり魚介や和の味付けに合いそうです。
★栃木 ココ・ファーム・ワイナリー あわここ 白 2016 7票 2100円
上記とは全く正反対の、こもってボリュームを感じ若干の濁り、パインやグレープフルーツなどのフレーバー、旨みがあってこっくりとしています。
B.白
宮崎 都農ワイン シャルドネ アンフィルタード 2015 5票 3085円
軽い苦味があってクリスピー、適度なフルーツ味があって、心地よく気軽に飲める。素直なスタイル。
★新潟 カーブドッチ みつばち(シュナンブラン) 8票 2916円
オレンジや酵母由来の香り、吟醸香もありアロマは複雑。軽く引き締まってドライ、かつ旨みが後半から立ち上がってきます。
C.赤
新潟 ドメーヌ ショオ partly cloudy 2016 4票 3240円
ベリー香中心に瑞々しい香り、華やかさの中に緻密な旨味もあります。この日の料理ではポテトがいましたが、シンプルな味付けのものが良さそうです。
★ 熊本 熊本ワイン 熊本城本丸御殿 NV 9票 1674円
これも全く逆で、カシスの香り、比較的深い色合い、それほど広がりはありませんが、アフターはスパイシーで、適度な果実の凝縮感を感じます。
結果:九州 X X ★ vs 北陸+関東 ★ ★ X
北陸+関東が2回戦進出!!
第2試合 関西VS中国+四国
A.泡
滋賀 ヒトミワイナリー h3+クマゲラ 微発泡 2016 5票 1836円
色が濃く黄金色で、フォキシーフレーバーと言われる、つんとした香り、苦味、石灰由来のチョークのようなタッチがあります。味わいもドライで爽やかなアフターが特徴です。
★島根 奥出雲ワイナリー セイベル スパークリングワイン NV 8票 2592円
日本酒の吟醸香、白い花の香りから、カカオやキャラメルのようなフレーバーも若干現れます。全体に透明感があり、ドライで伸びがありますが、適度なフレッシュ感で、飲み飽きないスパークリングです。
B.白
★島根 奥出雲ワイナリーシャルドネ アンウッディッド 2016 8票 2376円
アロマがすっきりとしていて、ぶどうの皮の部分の香り、ドライで柑橘のフレーバーを感じます。広がりボリュームはありませんが、素直でフレッシュ感、飲み心地の良いワインです。
京都 丹波ワイン 鳥居野 ピノ・ブラン 2014 5票 2916円
樽の香りやタルタルソースのような複雑でこもった重めのアロマ、まろやかで菅入院にマダ。ポテンシャルが感じますが、開ききっていない様子。この日はピザに合いました。
C.赤
鳥取 北条ワイン 砂丘 2014 4票 2651円
軽く青いピーマンのようなフレーバーと、スパイス、かすかにカカオのタッチも。引き締まって青さやタンニンを感じる味わい。ミディアムボディでありながら、変化を感じます。
★大阪 仲村わいん工房 花 カベルネソービニヨン NV 9票 3240円
瑞々しさやペッパー、ベリーのアロマにリキュールのようなフレーバーもあります。酸と華やかさもあり、徐々に開いてきているイメージ。奥に乾いたタンニンもあり、果実味が重くはないものの、こなれて、口いっぱいに、きれいに広がります。
結果:関西 X X ★ 中国+四国 ★ ★ X
中国+四国が2回戦進出!!
北陸+関東と中国+四国が勝つという大方の予想を覆す結果でしたが、それだけ皆さんにとってもまだまだ知らない意外なワインがたくさん存在したようでした。大切なのは「勝敗」そのものよりも、ブラインドテイスティングで先入観を抜いて公平に、かつ「好み」で選ぶことで見えてくる、本当のワインの姿を見つける、そんな出会いではないでしょうか?
私にとってもいくつかの新しいワインとの出会いがあり、またその味が予想外で、とても興味深い会でした。また呼んで頂けるなら、しっかりレポートしたいと思います。
そしてこのトーナメント4回目の決勝戦まで対抗戦が続きます。最後はどこが立ち上がるのか今から楽しみであります。