皆さん産地を覚えるって大変じゃないですか?そこにたくさんの品種が絡んできたり、はっきり言って理解するのも煩雑!!覚えておくと、おいしいワインを選ぶのに役にたつのですが、全部覚えるのは面倒なもの。

そこで長年スタッフ向けの講師をしてきた私が編み出した、「世界一簡単で効率の良い産地の理解方法」をお教えします!(しかも無料で!!)

第一回は量、質、人気ともにやはり世界一といえる国、フランス。そしてフランスのことを知ると周りの国(イタリア、スペイン、ドイツ、スイス)のことまでわかってしまう、効率の良い覚え方があります!!

 

<覚える産地区分3!品種も3!!たったこれだけ>

まずフランスの産地の地図を見てみましょう。大体どこもこんな感じ地図が多いですね。フランスだと大体 12から13の主要産地を覚えなければならず、そこに覚える品種最低でも10以上となると、なかなかの負担です、、、

vins-france1

ただ、ここ覚えて頂きたいのは、たった3つのエリアとそれぞれにひとつの品種のみ。まずはこれだけで充分です!!そこから派生させていきます。いきなりたくさん追わず、基本の骨組みにくっつけて覚えていたほうが簡単ですよ!

煩雑な産地名を覚えるということ自体やめてしまいます!どうしても覚えたいという「真面目さん」は、まずは地図上の6つに絞った、カタカナのルビの地名だけは覚えても良いかもしれません。その地図がこれ!!

vins-francearea1

まずフランスをA,B,Cのエリアに大きく分けます。それぞれ有名な産地なので「ボルドー、ブルゴーニュ、ローヌ」程度は聞かれたことがあるかもしれませんね。その3つだけを覚えられば、覚えてもいいですが、これも無理にとは言いません。

産地の色分けもごちゃごちゃしているので、イメージを強く覚えてもらうために、区分けのみドーン!

frenchmap

 

 

 

そしてそれぞれA,B,Cには向いた品種というのがありまして、その系列だけ覚えれば良いです

A: ソーヴィニヨン系

B:ピノ系

C:グルナッシュ系

赤白の区別を覚えるのも二の次です。この系列さえ覚えてしまえば、それぞれに実は赤白の品種が対照で存在するのでそれを覚えていくのです。

 

<3系統に関連した赤白の品種からおさえる>

赤ワインがメインなのでその葡萄(黒葡萄と言います)を、まず覚えればいいでしょう

A:カベルネ・ソーヴィニヨン

B:ピノ・ノワール(ノワール=黒)

C:グルナッシュ・ノワール(単にグルナッシュと書いてあるものは実はこれです)

 

そしてそれぞれに白覚えるには

A:ソーヴィニヨン・ブラン

B:ピノ・ブラン

C:グルナッシュ・ブラン

 

と、ただそれぞれに「ブラン(白)」をつけるだけ。まあなんと簡単!!

 

<付けたしたければ、第3以降の脇役たちも>

、、、あれメルローは?シャルドネは?と思った方、さすがですね!しかし、それを最初から入れてしまうから、分かり辛くなるのです!!あくまで基本は上の3つ。そしてそれぞれの主役に対して相性の良い脇役がいると考えます。それぞれに覚えられれば付け足しても良いでしょう。(以下それぞれ3の方が相方として優先順位が高いものです)

 

A:3メルロ、4カベルネフラン

B:3シャルドネ、4リースリング

C:3シラー、4ムールヴェードル

 

あくまで覚えられる範囲で結構です。何度も繰り返しますが、まずは3つのエリアとそれぞれに3つの主役がいる、ということだけ覚えてもらえれば、今回は充分。フランス終わりです!!

>まとめ

  • A ボルドー他 ソーヴィニョン系 カベルネ・ソーヴィニョン、ソーヴィニョン・ブラン、メルロ等
  • B ブルゴーニュ他 ピノ系 ピノ・ノワール、ピノ・ブラン、シャルドネ等
  • C ローヌ他 グルナッシュ・ノワール、グルナッシュ・ブラン、シラー等

 

<国境を越えて応用できます>

さて(次回以降の予告でもあるのですが、)このフランスを覚えると、他の国もわかると冒頭で言いましたよね?では地図をフランスだけではなく、周りの国もくっつけて、みてみましょう。こうなります!

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なんとA,B,Cの産地は国境越えて地続きで広がっているのです!!ですから周辺国(イタリア、スペイン、ドイツ、スイス)の特に近いエリアは、同じ系統の葡萄が植わっていると考えていただいて良いです。

 

そしてオマケ!それ以外の新世界と言われるヨーロッパ以外の国も実はA,B,Cの相性があるというのはご存知でしたか?一部を例に挙げますと、

チリA,B

ニュージーランドB

オーストラリアA,B,C全て

アメリカ合衆国カリフォルニア州(元来)A,B(最近はC も入りオーストラリア化)

アメリカ合衆国オレゴン州 B

これで世界の産地傾向がざっくり分かってしまったようなものですねぇ!

それだけ重要なものなので、3つの区分だけは覚えておいてくださいね!

 

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<ここから一気中級へ「つまずきポイント」+補足説明>

 

上記を読んで「もちろんこんなに単純じゃないよね」というひねくれた、、、失礼!勉強熱心な方のために、世間で誤解されている「つまずきポイント」を中心に3点ご説明します。

 

1.「産地と品種の関連性」

産地と品種の関係には気温が関係するお気づきでしょうか?上記のように産地区分によって向いている品種が分かれるのは、産地の平均気温が関連しています。一般的には平均気温が高い順にC>A>Bと移行する傾向があります。実は最近人気のある日本ワインの産地に関しても、県別にこの傾向があるのはご存知でしたか?それはまた別の機会に。

 

2.「Aエリアの主役、実はカベルネ・ソーヴィニヨンではなくカベルネ・フラン」

カベルネ・ソーヴィニヨンというのは実は父カベルネ・フラン、母ソーヴィニヨン・ブランから、後で産まれてきた品種です。より伝統的な傾向のある産地「ロワール」はカベルネ・ソーヴィニヨンではなくカベルネ・フランが多いのです。

そして実はボルドーも!ボルドーと世間一般で言うといかにも「メドック」(シャトー・マルゴーなどの5大シャトーなどがある産地)というイメージが思い浮かびますが、ボルドー全体を見るとカベルネ・ソーヴィニヨンよりもカベルネ・フラン、メルロが重要な品種であることが分かってきます。

つまり産地全体として、フランスの中でカベルネ・フランよりカベルネ・ソーヴィニヨンが重要なのは実は一番南のラングドックルションとシュッドウェスト(南西地方)ということです。

ではなぜ上の説明でAの主役をカベルネ・フランでなくカベルネ・ソーヴィニヨンにしたのか?それは①簡単世間で知られているから②ブランをつけるとソーヴィニヨン・ブランになるのはどちらか、ということです。説明をするときにはある程度、単純化をする必要があるのです

 

3.地域ごとの品種の補足です。

例えばイタリア北西部のピエモンテ地方は、ほぼBの地続きであることから、シャルドネが植わっていますが、黒葡萄は実はネッビオーロがメインです。ただこの品種はピノ・ノワール姻戚関係があるともいわれており、特徴も近いのです。つまり地続きの法則が成り立ちます。

ついでB地区の白ぶどうですが、ブルゴーニュではリースリングはほとんど植わっておらず、シャルドネです。リースリングが登場するのはアルザス以北、ドイツに向けてのより涼しい地域ということです。

最後にCのローヌでも北部はシラー主体、南側はグルナッシュ主体と分けられます。このような産地内の細かい配置に関しては各産地別の解説の時にお伝えします。

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いかがでしたか?それでは次回以降もお楽しみに!!

 

解説・図作成:吉良 竜哉(winelive.net編集長)

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