キャンティ クラシコとスーパータスカンの雄、カステッロ・デイ・ランポッラのメーカーズセミナーに参加しました。
親子で来日、お父さんのルカ・ディナポリ・ランポッラさんの方は5回目だそうですが、ワイン醸造のみならず日本酒、デザイン、日本の文化、歴史全般など多くのことに興味を持ち、非常に真摯に話を聞かれる、とても好感の持てる親子でした。また新しい技術の話になるととても熱心で、常に前を向いていることがわかります。
ランポッラといえば既にダルチェオ、サンマルコといった彼らを代表するワインが非常に高い評価を受け、安定した地位を得ています。


彼らと他のワイナリーのとの違いは、大きく2つあります。一つ目は、いち早く熟成容器の一部にアンフォラ(古代式の甕)を導入したということです。

そして何より他では類を見ない、フローフォームスと呼ばれる、ワイン専用の容器に入れて流し、活性化するというシステムです。

興味のある方のためにリンクつけておきます。ちょっと胡散臭いですが、あくまでシステム説明のため

http://flowforms.co.jp/what_flowforms/what_flowforms.html

これはもともとアメリカ、カリフォルニア州の湖浄化のために使われていたそうなのですが、液体を2手の筋から流し、軽くぶつけて八の字型に混ぜることによって、分子の形を変え表面積を増やして、光を中心とした大気中のエネルギーを与える、というものです。
複雑で我々もにわかには理解できるほど単純なシステムではありませんが、彼らは着実に出来上がったワインに好影響を与え出ていると納得して使っているようです。

彼らのワイン造りを語る上で、もうひとつ外せないのが「ビオディナミ」です。ビオディナミを導入することにより、収穫年の影響、特に悪い年の影響を最小限に止めたり、またはそれを長所として転換する力があるそうです。
例えば2003年とても暑かった年で、過熟したぶどうが、最初はレーズンのような甘ったるい香りを放っていたそうですが、時間とともに深く複雑な風味に変わっていったそうです。
一方2005年雨の多かった年、ブドウの生育不足で風味が青いことが不安視されましたが、数年の熟成で良くなっていったそうです。

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カヴァークロップの例 ランポッラHPより

また当サイトでもよく登場するカバークロップ(緩衝草:来週のワイン用語詳しく説明します)もより自然な栽培の一環として取り入れた結果、効果があるようで、同じ雨の多かった2002と2014年を比較してもカバークロップのなかった2002年は、降った雨がそのまま葡萄が吸収し、水ぶくれを起こし、作柄に深刻な影響を与えたとの事。2014年時点では垣根の間に草を生やしていたことにより、下が水を吸い上げブドウへの影響を最小限にとどめたそうです。
オーガニックの生産者ということでSO2,二酸化硫黄の含有量に関しても細心の注意を払っているそうで、体に良いもの、自然な味わいを表現するために極力使用量抑えています。

テイスティングの間にも参加者のコメントの中に出た、ビオワイン特有の香り、というコメントに「我々のワインのどこにそれを感じるか」と詳しく聞かれ、彼らにはそれがかなり気になるようでした。
販売、紹介のプロにとっても、生産者にとっても、「ビオ臭い」という表現の捕らえ方には個人差があり、また良い意味の場合:凝縮した力強いアロマ、場合によってこもった様な厚み、と悪い意味でのビオ臭:雑巾のような湿った香り、不潔な香り、豆っぽさ、酸素足りない状態、還元などを含む、の表現は分けて考えなくなければなりません。

今回はテイスター共通に感じるのは悪いビオ臭さではなく、良いほうのぶどうの凝縮を感じるというところでした。一部の不安定なワインの香りについて一言でビオっぽい、オーガニックと片付けるのは(特にプロが使う場合その影響も考えると)非常に危険な風潮だと思われます。
さて饗された3種類のワイン。

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キャンティクラシコ2014
横に少し広いグラスに注いで頂いたこともあり最初は青っぽい果物の香りが、徐々に黒そして赤へと変わっていき、最初の飲み口からやや開いて緩やかな丸い、赤い果実の風味が広がります。それが温かみ、ある程度の厚みを持ってキャンティクラシコの代名詞とも言える真ん中にある酸味をうまく包み込んでいます。酸味が主張しすぎると、当然不快なイメージ、酸っぱさにつながります。なめらかで飲み心地良く、すでに飲み頃に差し掛かりつつあると言っていいでしょう。
冨士鶏で野菜をまいた一品目合わせましたが、やはり繊維質のある白身肉などは、こういった明るめのキャンティクラシコは非常に相性がいいと思われいえます。
二品目のマッケロンチーニ(穴の開いたマカロニの少し太くて長いもの)のラグー(ひき肉ソースですが一般的な日本で見るひき肉のラグーというよりは、この日のは肉の繊維を残したものでした)。これもキャンティクラシコの酸を鮮やかに引き立たせ、良いアクセント。楽しい食べ合わせです。

サンマルコ2011
次の「ダルチェオ」と比べるとサンジョヴェーゼでカベルネ・ソーヴィニヨンメルローのブレンドだけあって比較的丸みを帯び、凝縮しつつも赤い果実のタッチ、開栓後まもなくボトルから注がれた割には引っかかるタンニンなどはなく、比較的明るく、開いています。

赤牛のサーロインとこの上ない相性です。(現地でもサンジョヴェーゼのお供はビステッカアッラフィオレンティーナという赤身牛です。)

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ダルチェオ2011
創始者アルチェオ氏にちなんだワイン名。トスカーナの内陸(中世から植樹のカルミニャーノ除く)においていち早くカベルネ・ソーヴィニヨンを植樹し、今でもこの主力商品に使っているということもランポッラのアイデンティティの一つ。こちらはサンジョヴェーゼの代わりにプティヴェルドを使用。黒い果実香り、スミレなどの花、ゼラニウムなど澄んだタッチもあります。

以前飲んだ別のヴィンテージはスパイシーで香ばしく渋みもありましたが、比較的果実味も角がとれ素直にうまみを感じられます。厚みと芳醇な果実味で今でもおいしく飲めますが、おそらくあと数年待つだけでも複雑味、緻密な旨み、スパイシーさがより楽しめると思われます。トスカーナ屈指の評価は頷ける、堂々たるフラッグシップ(看板商品)です。

 

「ランポッラ」のワインは、絶え間ないランポッラ親子の向上心のおかげで、以前からある果実の凝縮感に近年洗練されたまとまりが加わり、ますます目が離せません。

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また明日には、同じキャンティクラッシコ地域で、同じようなラインナップを手がけるライバル「イゾレ エ オレーナ」の来日セミナーにも潜入、レポート予定ですので、お楽しみに!

カステッロ デイ ランポッラ HP: http://www.castellodeirampolla.it/

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