秋田,山形,新潟などとともに質量ともに日本の酒造りをリードする産地、長野。
ひとつの会場に61もの蔵が集まるという、とてつもなく大規模な、そしてカオスティックな試飲会「長野の酒メッセ in Tokyo」があると聞きお邪魔してきました。
実際に試飲した数はなんと110にも及び、舌、集中力、体力の限界との戦いでしたが、一方非常に有意義なデータ収集になりました。特に気になったもの、評価できるものを簡単なコメントとともに紹介したいと思います。
総じてレベルの高かったおすすめ銘柄には★がついています。
酒造長生社 <信濃鶴> 純米無濾過生原酒
フルーティーで深みありほの甘い。口当たりのよい酒。
小野酒造店 <夜明け前> 純米大吟醸 金紋錦
華やかさ、豊かさがある。とろみがあるが後口引き締まる。
★仙醸 <黒松仙醸> こんな夜に 純米吟醸 山椒魚 生
フルーティーで華やか、とろみがあってやや甘み感じる。日本酒のなかではかなりゴージャスな部類。
<黒松仙醸> 純米無濾過原酒
甘辛の度合いが丁度よい。コクとややとろみがあり、しっかりしつつも飲みあきしなさそう。
米澤酒造 特別 特別純米 おたまじゃくし
とろみ、やや甘み、豊かさがある。切れが少ないので、煮込みや肉に合いそう。
中善酒造店 <中乗さん> 契約農家産 美山錦 純米吟醸 責め
やや甘み、丸みがありふくよか。米のうまみと、しっとりまとまりがある。
喜久水酒造 <喜久水> 猿庫(さるくら)の泉
どこかお新香の風味がして、コクあり余韻もしっかり。クラシカルなタイプで、元来の日本酒好きに奨められる銘柄。
美寿々酒造 <美寿々> 純米吟醸無濾過生
微細に青み、苦味がありそれがアクセントとなっている。芽キャベツや春野菜に合わせると面白そう。
★湯川酒造店 <十六代 九郎右衛門> 純米吟醸 東条産 山田錦
このシリーズは何を飲んでも旨いが、これはマスカット様のアロマあり、華やかでとろみあり上品。日本酒にとっつきにくい先入観ある人には是非飲んでもらいたい。
大信州酒造 <大信州> NAC ひとごこち 2016 ○
幅も感じられるが、まとまりがあり飲み心地良い。バランスが秀逸。
善哉酒造 <女鳥羽の泉> 吟醸辛口原酒 丸みがあり、穏やかでじわりと旨みが広がる。細やかで丁寧にできている。
★笹井酒造 <笹の誉> 純米酒 ひとごこち 直汲み生
華やかさ旨みがバランス良く広がり、飲み心地良い。他の酒も総じて穏やかで細やかな旨みある。
大澤酒造 <明鏡止水> 純米吟醸 落ち着きがありつつ、幅、旨みを感じる。飲み心地も良い。
★舞姫 <舞姫> 扇ラベル 純米吟醸 美山錦 はぜかけ米
乾燥させた米を使っているため凝縮感がでる。香ばしさ、コク、旨みが特徴的。日本酒界のフルボディ。
★佐久の花酒造 <佐久の花> 純米吟醸 無濾過生原酒
とろみ、丸みがありふくよか。ひとごこちのまろやかさ、やさしさを上手く体現した銘酒。
田中屋酒造店 <水尾> 純米大吟醸
やや甘み、フルーティーさ、奥に硬さが横たわっているので、飲み頃見ごたえは十分。水尾の他の銘柄よりは苦味、硬さが少ない。
信州銘醸 <瀧澤> 純米吟醸 生酒
フルーティーでやや甘み、くせがなくすっきり。これから飲み始める初心者の方にお奨めです。
★土屋酒造店 <亀の海> 特別純米無濾過生
やや濃いめで旨み、とろみを伴いつつ、余韻にかけしっとりとした感じや切れも感じる。飲み頃口が楽しい、良いバランスの酒。
丸世酒造店 <勢正宗> 特別純米 無濾過生
丸みととろみ、ふくらみがあり、旨みものる。ハーヴの様なアクセントのある後口で、それも含め複雑味、厚みも感じる。
<黒松仙醸>や<十六代 九郎右衛門>はさすがの旨さでしたし、<笹の誉>、<亀の海>、<佐久の花>といった新しい発見もあり、いずれ長野のワイナリーと共に訪問するのが楽しみになりました。