「ポルトガルワイン」に対する一般的な知識として、まず最初に浮かぶであろうイメージがポートワイン、そして次に来るのが「ヴィニョ・ヴェルデ」ではないでしょうか。今や日本のどんな酒屋にでも見かけるあの猫のラベル、軽くすっきりとした微発砲、安ワイン。すっかりそのイメージが定着し、それ以上の奥深さがあることを伝えることは難しい。

しかしそれだけが全てではないと、固定概念を覆すべく、4つの生産者からなる若手有志の集団「ヴィニョ・ヴェルデ・ヤング・プロジェクト」、(以後VVYP)のメンバーがヴィニョ・ヴェルデの「本質」を伝えるために来日。銀座 壮石さんで鮓とのマリアージュをテーマにディナー会が行われお邪魔してきました。

結論から先に申しますとピュアでクリーン、華やかな白ワインであることは確かですが、奥深く骨格もしっかりとして、数年の熟成も期待できそうな、構成のしっかりとしたワインが多く、上質なガストロノミックシーンにおいても充分通用するワインばかりでした。

会の趣旨、生産者のテクニカルに関しては、主催店舗「銀座壮石」の岡田さんがかなり詳しく書かれているのでそちらに譲ります。一番下のリンクからご覧下さい。

こちらでは供された8種類について、味わいの特徴にフォーカスしてコメントしていきます。

1. <Casas Novas> Casas Novas 2015

オレンジピール等の風味、軽い苦みから始まり、中程度のボリューム。石灰由来の軽いチョークのようなタッチ、適度にドライですでに飲み頃、まとまりのあるワインで、あと1,2年で更に深みが増しそう。ソラマメの青みとホクホクとした感じにとても合います。

2.<Sem Igual> Sem Igual 2015

他の国のワインで例えるならドイツのフランケンワインのよう。白い花、透明感がある上でミネラルの軽い風味を感じます。ドライですが生の柔らかい魚の身を食べても生臭くならない、ピュアで凛としたワイン。アリント、アザルといった地ブドウの収穫を3から4回に分けて行い、ミネラルなど中身の詰まった風味がうまく表現されています。

お造りに素晴らしいマッチングを見せましたので、究極の「割烹向きワイン」といえるかもしれません。

3.<Sem Igual> Sem Igual 2014

上記のヴィンテージ違いですが、似て非なるワイン。リンゴ酸の熟した旨み、少しふくらみと充実感、重層的な雰囲気を感じます。この日の料理「ホタテの春キャベツ巻き」とも、意外なほどに相乗いたしました。皮付きの白身魚を炙ったものなども楽しめそうです。

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4.<Vale Dos Ares> Alvarinho 2015

石灰由来の軽いチョークだけでなくボリュームもある香り。蜂蜜、ナッツ、ドライフルーツの香味もあります。色づきもよく、ゴージャスでやや厚みも感じるタイプ。これも焼き目をつけた白身魚はもちろん、鶏肉などとも相性が良さそうです。

 

5.<Vale Dos Ares> Alvarinho Limited Edition 2014

マーガレットなどの白い花のアロマ。ステンレスのみを使った醸造の割には、スペインのヴェルデホの様な、丸みのある果実とねっとりとした酒質、適度なボリューム。熟した酸を感じる。和食ならから揚げあたりが良いでしょうが、生ハム、リゾットなどの洋食ももちろんおいしくなりそうです。

 

6.<Quinta de Santiago>Alvarinho 2015

青りんごの風味にシェリーのフィノのようなドライなタッチ。香ばしさアーモンドの風味があります。

香ばしさ、メリハリ、酸に旨みののった味わいは、いわしの酢漬けなど魚介のタパス、フライに抜群の相性を見せそうです。こういうワインとヒカリモノの鮓は非常に面白い相性といえます。

7.<Quinta de Santiago>Alvarinho Reserva 2015

今回の中では、唯一ビオワイン香の様なタッチや乳化したニュアンス。心地よい旨みを伴った、まったりとして落ち着きのある味わいです。クセの少ない軽いチーズや豆の煮込み、きのこを使った料理に合いそうですが、西京焼きとの相性も絶妙でしたので、白みそと色々あわせるのも面白いかもしれません。

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8.VVYP Signiture マグナム

4生産者のワインをブレンドし特別に詰められた限定商品のマグナムボトル。活き活きした果実味と細やかなミネラル感、丸く、陽気で親しみ易い上に充実感ある味わいは、色々なシーンで活躍しうる、万能型の酒質。こういう「限定品」を手に入れるというのは、オリジナリティーがあり、開けるのが楽しみになります。出来ることなら手に入れたい一本ですね。

日本未輸入のワインばかりだそうで、何とか輸入を(個人的には、まずはSem Igualだけでも)と感じました。知られている産地のワイン、売れるものを輸入するのもインポーターの役目でしょうが、こういうものを広める先見性をもった企業の出現も待たれます。

参照ページ

銀座壮石ブログ http://ginzasoseki.blog122.fc2.com/blog-entry-925.html

VVYPのページ(FB) https://www.facebook.com/vinhoverdeyoungprojects/