この記事は「Craft Sake Week 初日」(後編)です。前編はこちら
<手取川> U Yoshidagura 山廃純米無濾過生原酒:この日のどの酒よりも口当たりの甘みがしっかりと感じられ、幅もあります。ただ酸も細やかにあるため、華やかさ広がりを持ちながらも、ゆったりとした、くどくない味わいが好印象です。又ほっこり癒し系ですので、週末の午後カフェで飲みたくなるようなお酒でもあります。「冷や(常温)」に近づくと風味が引き立ちましたので、これも温度の変化が楽しめるでしょう。
<風の森>Alpha無濾過無加水生酒:フルーティーさパパイヤのような旋律な華やかさ。微発砲の様なピチピチ、はつらつとした酒質です。日曜のランチにお天道様の下で飲みたい、明るく開放的な味わいといえます。この優しさ、丸さ、若い女性にもきっと受け入れられると思います。
<くどき上手>Jr.のヒ密 純米大吟醸:こちらは、酸、苦みを全くといっていいほど表に感じない、甘く剛球ストレートの味わい。ただその甘みはしつこくなく、豚肉の料理と合わせても、また食後酒としても楽しめそう。まさにドイツワインのリースリング・アウスレーゼの様な、グラマラスな味わい。体が温まり、厚み、ふくよかさを感じる一本です。
<真澄>: Miyasaka 美山錦 純米吟醸(限定): まさに「和の調和」を感じさせる一本。派手さはないが、じわじわと染み渡る、旨味。深みがあり、肉も魚も全てが全て頂けそうな、まさに名門の銘酒といえます。いつ飲んでも安心できる旨味を持つ蔵の顔が見えますが、こうした限定品を始め新しいラインナップの創出など革新を続けられるところが素晴らしいといえます 。
<飛露喜>特別純米:硬質で涼やか、夏のひぐらしを思わせるような透明感。心地よい軽やかさが感じられます。冷酒ですと中心がやや硬く、たくさん飲んだ後にはやや飲み下しにくい部分があります。比較的古来の日本酒好きに受ける味わいかもしれません。
このイベントでは、前半(11日まで)と後半(12-16日)にそれぞれ5店舗ずつ、名店が腕を振るった料理が頂けるのも魅力です。前編の賀儀屋と一歩己のところで書きましたように、イタリアンDon Ciccioさんが出していた「イカ墨のクスクス」を頂いてみました。クスクス好きの私ですが、もちろん日本酒と合わせるのはこれがはじめて、しかし、これが不思議なほど合います。クスクスに添えられたイタリアンパセリが日本酒の味を広げるアクセントになっていたのも驚きでした。
このようなイベントは、食事、特に洋食との食べ合わせによる日本酒の新たな魅力の発見、という意味でも有意義ですし、同じ「原酒」などスペック(製造法)の同じでも全く違う味わいの違いがが出るという意味でも、とても興味深いものでした。
会場内には、中田氏プロデュースらしい、DJブースがあり、夕方からはイベントも開始。またグラスチケットの清算をしなくても、お連れさんとしてフラっと会場内に立ちよることはできますので初心者にも優しい、気軽に参加できるイベントだと思います。16日まで開催していますので近くに寄られた際はぜひ覗いてみてください。