12年もこの仕事をしていますと、ある程度のことは判ってきたなぁ、などと自惚れる瞬間があっても、すぐに鼻をへし折られるような新発見がまだまだあります。(だから止められない仕事なのですが。)そんな一本がこちら、北イタリアヴェネト州のビゾル社、「タレント ブリット メトド クラシコ」です。瓶内二次発酵のスパークリングであり、しかも単一ヴィンテージが入っているワンランク上のものです。

このタレントという地域ですが、プロセッコというイタリアの安くて軽快な辛口のスパークリングを造るところ。しかしこの商品に関しては、あえて品質を追求、非常に長い期間の熟成を終えた後にはじめて出荷されます。

通常スパークリングワインでは法定の最低熟成期間が、カヴァが9ヶ月、シャンパーニュ15ヶ月、フランチャコルタ18ヶ月などと決まっており、どんなに高級なシャンパーニュにでも3年から5年熟成をさせる程度なのが関の山です。しかしこのスパークリングはなんと10年の熟成をさせてから出荷されます。熟成期間が長いと、それだけ泡がお酒全体に溶け込み、開栓後も泡持ちが良く、全体にコクがありながら複雑味を持たせることができます。

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ただ、どんなワインでも長く持たせれば良い、というわけではないので、足腰(一般的に酸やミネラル)のないブドウを用いて造ると、古臭く、フレッシュ感がなくなるのが一般的です。その点もこのワインは、うまくフレッシュさは残り、わずかながら青リンゴ、蜜リンゴのような溌剌さも感じられます。このバランスこそが飲み飽きない、そして飲み手が満足感を得られる、選ばれしスパークリングワインなのです!

通常はこのような熟成期間を経たものは、当然高く販売されることが多いのですが、このスパークリングワインはたったの5千円ちょっと。とてもお買い得な商品です。同じくイタリアのスパークリングで10年寝かせたもので、かつてその品質に私が驚いたロッケ ディ マンゾーニ社の「ヴァレンティーノ ブリュット ゼロ」でも1万円弱で安いと思っておりましたが、(味の方向性も違いますが)コスパはさらに高いといえます。

またこのワインは「シャトー ムートン ロートシルト」のように、毎年ラベルが変わることで知られています。このビゾル社が主催する絵画コンテストで優勝した作品が、ラベルを飾るのです。そのコンテスト名もダジャレのようですが「タレントがタレントを探す」というものです。

比較的手頃な値段のスパークリングですので、プチ贅沢をしたいときに気軽に開けることができますし、舌の肥えた方へのちょっとした差し上げものとしても、充分に応えられる中身を持っています。是非お試しあれ!

さてこの商品、新規取引をする手始めに、輸入元の営業さんがお持ちくださったもの。営業という視点では仕事が出来る!ということですが、買うサイドからみるとなかなか出会えないような商品。やはり、人脈、ネットワークは大事であると、噛み締めた一本でもあります。

伊勢丹新宿店で買えます!

タレント リゼルヴァ ブリット メトド クラシコ 2004 (750ml)  ¥5,184

 

 

文・写真:吉良 竜哉

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