プリュレ・ロック醸造責任者、ヤニックさん来日時のランチレポートで、後半です。

前半をご覧になる方はこちらへどうそ。

2.一番印象に残ったワイン、そして中華とピノ

今回のテイスティングで私が一番驚いたワインが「クロ・デ・ザルジリエール」という畑のものです。ここは非常に小さい畑(0.7ha)です。実は去年、私がその質に非常に驚いた造り手であり、これまた自然派の生産者フレデリック・コサール氏から2009年に畑を購入したそうです。畑を購入する場合、前所有者が自然派でないと、土質の改良をして、生命力を取り戻すのに時間がかかるところ、やはり比較的楽に引き継げたそうです。

この畑は角度があり、粘土質ながらミネラル分で香りが非常に高いくなるのだそうです。香りが鮮やかで、赤い果実の風味がし、ニュイサンジョルジュというよりは、どちらかというとヴォルネイ、シャンボール、ヴォーヌロマネに見られるような果実感がしました。穏やかながら緻密で、酸の細やかさ、伸びがあり、飲み心地の良い状態でした。

今回のランチは青山の中国料理 、礼華 青鸞居(らいか せいらんきょ)さんでご提供いただきました。

http://www.rai-ka.com/seirankyo/index.html

プリュレ・ロックは以前と比べて華やかで透明感が出てきたというものの、やはりブルゴーニュの中では凝縮感とスパイシーさ、肉付きのよさ、力強さを感じるところがあり、和食というよりは中華料理に合うと思います。そういう意味でも今回のランチのマッチングは絶妙でありました。もちろん中華といっても、こちらのお料理は創造性があって繊細、味が細やかなので、これもピノに合います。

料理との相性ではコルヴェの畑から出来るニュイプルミエクリュの肉付き、芳醇さが好ましいと思われました。職場では「中華にはスペインワイン」とほぼ一辺倒なコメントをしがちな私も、こういう選択肢も時には、さらっと提示しなければいけませんかね。

3.ヴィンテージの良し悪しと先入観:「私はワインの味のコメントはしない。」

各収穫年の天候の良し悪しだけが、必ずしも出来たワインの品質につながるわけではありません。近年では2009, 10,15年などは世間では最高の条件に恵まれた収穫年であり、そのまま最高の品質のワインが作られると信じられているむきもあります。ただしこれは生産者の努力によって左右することも多くあり、これ以外の年のものが素晴らしい出来になることも、十分にあり得ます。

こういう誤解を払拭するため、私は常日頃からヴィンテージの違いはキャラクターの違い、人間でいう個性の違いのようなものだと言っています。要するに、好みの問題、飲み時(ピーク)によって意味合いが変わって。ヤニック氏もそれを強調し、「難しい年だからこそ愛着がある。」と語り、そしてそれ故「最良以外」のヴィンテージにもそれぞれの確信があるようです。そして、そういった自身の思い入れがあることも戒めて、会場でワインの状態について感想を聞かれても、先入観を排除する為「コメントをしない」のだそうです。多くの代表作を持つミュージシャンが、決して自分の一番好みの曲をファンに知らせないのと同じ様なものかも知れません。

まだ知られていない、2016年について。彼によると対応が難しく「気まぐれな」ヴィンテージだったようです。4月の霜・雹によって果実が7割も減らされてしまい、7月までは最低最悪の天候。8月から持ち直し選果の必要がないほど天候に恵まれたものの、あまりの回復ぶりに過熟ぎみなのではないかと心配されました。しかし霜によって落とされた部分が2番目に芽をつけ、その葡萄が未熟で若いままであったために、その酸度が高いぶどう混ぜることによってバランスがとれたようです。このことからも必ずしも恵まれないヴィンテージであってもその生産者の努力、又はバランスの取り方によってワインに大きな影響が出て、逆境も挽回できるということがよくわかります。

本来ワインはブドウと酵母だけで出来るのですが、その単純さゆえに、味も良くして、品質保持もするのが容易ではない為、ほとんどの生産者で補糖、補酸、培養酵母をはじめ、あらゆる処置、手段を講じています。しかしプリュレ・ロックでは困難を承知でそれらを排除。世間ではここのワインについて、収穫年によって「ビオくさい」「洗練されてない」などネガティヴなコメントもしばしば聞かれます。しかし、毎年毎年の自然現象と向き合うこのような生産者に敬意を表し、先入観を捨てて、年毎のワインそのものと相対して、評価を下すべきではないでしょうか?

少なくとも私個人にとっては、2014の水平テイスティングにおいて、どれも素晴らしいワインであると思いましたが。

プリュレ・ロック http://domaine-prieure-roch.com/en/accueil/actualites/

nuits1ervv

このは、伊勢丹新宿店にて販売しております。

Nuits 1er Cru V.V. 2014

¥21,600

 

 

文・写真:吉良 竜哉

www.winelive.net

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